JR東日本、耐震補強計画の優先順位見直し 約4,500億円規模に

e5系 東北新幹線

JR東日本は、2021年2月と2022年3月の福島県沖地震の被害を踏まえ、耐震補強計画の優先順位を見直し、規模を拡大する。

福島県沖地震では、東日本大震災など過去の地震被害を教訓とし、近い将来に発生が懸念されている首都直下地震などの大規模な地震に備え、構造物の耐震補強を行ってきたことから、補強済みの箇所では大きな損傷はなかったものの、一部高架橋で桁が沈下する被害や新幹線電柱の損傷が発生していた。

新幹線高架橋柱のうち、全てのラーメン橋台約6,000本は前倒して2028年度までに補強対策の完了を目指す。このうち、桁が大きく沈下・傾斜する恐れのあるPC桁を支えるラーメン橋台約970本は省令などに基づいて、2025年度までに補強対策を行う。ラーメン橋台以外の高架橋柱も補強計画を拡大し、2033年度までに約13,200本の補強対策を目指す。同年度までに沈下・傾斜する恐れのある新幹線高架橋柱の補強対策が完了する見通し。

2012年度から行っている、約3,400億円規模の在来線盛土や電柱などの補強など、東日本大震災を踏まえた地震対策と首都直下地震に備えた地震対策は、駅改良工事に合わせて行う一部箇所を除いて、2024年3月に完了する。

2017年度からは、首都直下地震の想定震度が上昇したエリアや新たな活断層が顕在化したことを踏まえ、高架橋柱、新幹線トンネル、電柱などの対策エリアを拡大し、約3,000億円規模の地震対策を行っている。今回の規模拡大により、総額約4,500億円規模となる。