ANA、国内線プレミアムクラスの機内食を「和洋折衷」のバラエティーに富んだメニューかつ環境に優しい容器へとリニューアル

全日本空輸(ANA)は、国内線プレミアムクラスの機内食をリニューアル。「The Premium Kitchen」をコンセプトとし、12月から提供をスタートする。

今回のリニューアルのポイントは3つ。ひとつめは季節感や彩り、品数といったANAのこだわりを知った上で食事を楽しめるように、ウェブサイトや料理と一緒に提供されるメニューカードの内容を充実させ、より食べる楽しみ、知る楽しみを得られること。また、特定7品目のアレルゲン情報も記載されており、安心して食事が楽しめるようにもなっている。

ふたつめは、これまで時間帯によって「朝食・昼食/夕食・軽食」と3種類を提供していたが、リニューアル後は軽食がなくなり、「朝食・昼食/夕食」の2種類に変更している。具体的には午前10時59分までの出発便が「朝食」で、それ以降の便は「昼食/夕食」となる。

朝食に関しては利用客のアンケートで好評だったことから、温かいスープとサンドイッチを中心とした、手軽に食べられるメニューを継続。パンのサイズはしっかりとした食べ応えを狙って、大きめのカットにしてあるのが特徴だ。

さらに「昼食/夕食」は、和食と洋食の要素を取り入れた和洋折衷のメニューとなっている。今回の試食会で提供されたメニューでは、ご飯が五目ちらし寿司で、和食として豆乳豆腐のカボチャ餡かけやいぶりがっこ、里芋と鶏肉などの炊き合わせ。洋食として鴨のスモークやタラモサラダとバラエティーに富んだメニューとなっていた。

提供スタイルやメニューは路線によって異なるが、大きく分けると、羽田発着の札幌・福岡・沖縄便はご飯などの一部のメニューが暖かい食事を提供。それ以外の便は機内食容器の変更などにより、すべてコールドミールとなっている。ANA総料理長 清水誠氏によると「冷たくてもおいしく食べられるよう、コールドミールではご飯の炊き方を変えている」という。

▲羽田発着の札幌・福岡・沖縄便の朝食提供スタイル

▲羽田発着の札幌・福岡・沖縄便の昼食/夕食提供スタイル

▲そのほかの便での朝食提供スタイル

▲そのほかの便での昼食/夕食提供スタイル

リニューアル3つめのポイントは、地球環境への取り組みを進めるために、機内食容器の素材に再生紙を用い、カップ、椀などはリユース可能な製品に切り替えていること。たとえばコールドミールでは、古紙配合率80%の再生紙を使った機内食容器を使用。カトラリーなどは木製に、ワインなどの提供もプラスチックではなく紙コップとなる。

また、これまで使われていたプラスチックの味噌汁椀やスープカップは、再利用できず破棄していたが、洗浄して再利用可能なタイプに変更。ご飯など温かいメニューを提供する場合は、陶器などこちらも再利用可能な器を使用する。

そのほか、容器の留め具や蓋、容器内のおかずカップ、バランに至るまで、プラスチック製品をなくし、紙製に変更。これにより、ANAでは機内の使い捨てプラスチック使用量の約1割、年間約158トンの廃プラスチック削減が実現できるとしている。

ANA CX推進室商品企画部 サービス推進チームの中谷俊氏によると、環境には優しいものの、容器などの紙製品への変更によって「全体的なコストは高くなっている」とのこと。とはいえ、ANAグループではESG経営についての中長期目標を策定しており、3Rの取り組みも推進しているため「経済面と環境面、両方で持続可能な取り組みはしていかなければならない」と、今回の容器類を変更した理由について説明している。