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青森りんご原料のヘッドレストカバー、緑の照明 機内も特別な「ANA Green Jet」
全日本空輸(ANA)は、ボーイング787-9型機の特別塗装機「ANA Green Jet」(機体記号:JA871A)を10月5日から運航する。国際線の欧米路線を中心に投入し、機内サービスや運航オペレーションなどにおいて、サステナビリティをテーマとしたさまざまな施策を展開する。
ANAが2021年6月に立ち上げた持続可能な社会の実現と企業価値向上に向けた取り組み「ANA Future Promise」の象徴として運航するもので、機体の左側に「緑」、右側に「水」をモチーフとした塗装を施した。通常は「トリトンブルー」と「モヒカンブルー」の2種類の青色で塗られている垂直尾翼も、全体のデザインに合わせて2種類の緑色で塗装した。機体左側中央には「ANA Future Promise」の、右側中央には持続可能な航空燃料(SAF)の活用を通じて二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す取り組み「SAF Flight Initiative」のロゴを入れている。
サステナビリティ実現に向けた施策の第1弾として、機内のヘッドレストカバーに植物由来の素材で作った生地を使用する。ビジネスクラスとエコノミークラスには、サトウキビなどが原料のポリエステルを素材とした東レの「Ultrasuede nu」、プレミアムエコノミークラスには、りんごジュースの絞りかすを使って青森県発のベンチャー企業appcycleが開発した合成皮革「RINGO-TEX」を採用した。
▲CO2削減効果が見込まれる「リブレットフィルム」を説明するANAの井上慎一社長
さらに、機体の一部には、空気抵抗低減によるCO2排出量削減効果が見込まれるリブレット加工を施したフィルムを装着した。ニコンとの共同開発で、表面に1マイクロメートル程度の凹凸が刻み込まれたサメ肌のような手触り。まずは気流の流れが激しい胴体上部と主翼の付け根付近にそれぞれ縦35センチ、横45センチで貼り付けて耐久性を検証し、結果を踏まえて全機材への展開を検討する。ANAによると、機体表面の80%にフィルムを貼り付けた場合、2%の燃費改善が見込まれる。全機材への導入が完了すると、1年あたりのCO2削減量は30万トン、燃料費削減効果は80億円にのぼるという。
機内では乗客にサステナブルなフライトをイメージしてもらうため、客室の天井を緑色にライティングし、BGMとして自然を想像できるヒーリングミュージックを流す。さらに、客室乗務員は水と木々をイメージしたオリジナルエプロンを着用する。
これらの取り組みは、乗客や企業、社会からの評価を踏まえ、他の機材や路線への展開も検討していくという。ANAの井上慎一社長は10月3日に開いたお披露目会で、「お客様とともに新しいサステナブルなフライトを作り上げたい。たくさんの意見や要望を待っている」と呼びかけた。
「ANA Green Jet」の初便は、午後10時55分東京/羽田発のサンフランシスコ行きNH108便となる予定。運航期間は数年程度を見込んでいる。11月からは国内線用のボーイング787-8型機(機体記号:JA874A)でも同様の施策を展開する。
▲青森県産りんごジュースの絞りかすが原料の合成皮革「RINGO-TEX」を使用したヘッドレストカバー