日本初の「アルベルゴ・ディフーゾ」、岡山県矢掛町を巡るモニターツアー”わくわく矢掛ツアー”を実施【レポート】

岡山県矢掛町地域創生事業推進協議会は、日本で唯一、「アルベルゴ・ディフーゾ」として認定されている岡山県矢掛町への1泊2日のモニターツアーを1月に実施しました。

「アルベルゴ・ディフーゾ」は、イタリア語で「分散したホテル」という意味で、街に点在している廃屋や空き店舗をひとつの宿として活用し、地域を活性化させようという取り組みです。

広島空港と岡山空港のほぼ中間に位置する、旧山陽道の宿場町として栄えた岡山県矢掛町は、江戸時代には年間約14家の大名が宿泊していました。まさに「団体旅行」の元祖といえるもので、1日あたり868名が宿泊したと言われています。最後の大名行列が宿泊したのは1861年(文久元年)。1945年の岡山大空襲も逃れました。本陣と脇本陣が全国唯一、本陣通り750メートルの191軒が現存する、稀有な町です。

1993年から街並み景観整備事業を実施し、景観を守る活動を進めてきました。2015年に町唯一の宿泊施設となる矢掛屋本館、矢掛屋温浴別館が開業。2016年には観光地域活性化の取り組みを始めました。2021年には道の駅やかげ、矢掛ビジターセンター問屋が開業したほか、中国電力管内で唯一となる矢掛商店街の無電柱化が完了しています。

このような取り組みを進めている岡山県矢掛町の魅力を発信してもらいたい、ということで、本誌でモニターツアーへの参加者を募集。新型コロナウイルスの感染が落ち着き、県境を跨いだ移動制限が行われていない時期を見計らい、実施しました。

今回ご招待した皆さんは総勢28名で、大半が首都圏在住。集合場所の成田空港には、各自集合してチェックイン。機内への7キロまでの持ち込みに加え、20キロまでの荷物の預け入れができる「スプリング」運賃なので、矢掛町でたくさんお土産を購入しても大丈夫そう。

今回利用したスプリング・ジャパンは、成田空港と広島空港の間を1日2往復運航しており、首都圏からは成田を朝に出発し、夜に到着する便を利用することで、広島や岡山への1泊旅行に便利なスケジュール。

午前9時30分に成田空港を出発したIJ621便は、最新塗装の機材で運航。今回のツアーに参加するみなさんのために、名物の「リラックス体操」やフォトパネルによる撮影会を実施。客室乗務員さんと撮影する姿もあちこちでみられました。

富士山周辺や瀬戸内海など、左右にダイナミックな景色が広がり、これから向かう矢掛町への期待が高まります。広島空港には午前11時40分に到着。「LCCだけど快適だった」「フレンドリーな客室乗務員さんでびっくりした」という好意的な意見が聞かれます。

集合場所では健康チェックの後、バスに乗り込みます。参加者のみなさんのほか、今回はスプリング・ジャパンの客室乗務員さんもツアーに同行。矢掛町の魅力をたくさん伝えていただきます。

お腹が減ったみなさんとともに、まず立ち寄ったのは「笠岡ベイファーム」。本来は団体客の受け入れが難しいところ、特別に許可をいただき、岡山県笠岡市産の食材をふんだんに使ったバイキングを堪能しました。地元産の野菜や果物を品定めしている頃には出発時間。いよいよ矢掛町に向かいます。

いよいよ矢掛町に足を踏み入れ、まずはやかげ町家交流館で行程について説明を受けます。マップやガイドブックとともに、1組につき1個、ご当地キャラの「やかっぴー」が配られました。

宿泊する矢掛屋は、本館と温浴別館のほか、蔵を改装したあかつきの蔵、備中屋長衛門、蔵INN KURABI、蔵INN KAMONの6施設から構成されている分散型宿泊施設。部屋はランダムに割り当てられており、Twitterでは参加者が投稿する写真を確認すると、事務局一同、ちょっとホッとします。

一息ついたら早速マップを片手に、矢掛商店街を散策する参加者の姿があちこちで見受けられました。翌日は雨予報、きょうはお買い物、明日はカフェでまったりという計画を立てている人が多いみたい。名物の「柚餅子(ゆべし)」を購入されたという人が最も多く、他には麩や醤油を購入したという人も見受けられました。スプリング・ジャパンの客室乗務員さんとカメラマンは、矢掛のフォトスポットをめぐります。

新型コロナウイルスの影響もちらほら見受けられます。夕食が食べられるレストランのいくつかは臨時休業。そんな中、人気だったのは大国屋さんのお好み焼き。「たくさん食べて、飲んだのに激安だった!しかも美味しい」というアンケートの回答も。

最終日はちょっと早めに、午前中に水車の里フルーツトピアへのオプションツアーを実施。いちご狩りやカフェで名物のパフェを楽しみます。いつもは数量限定のパフェも、きょうはご行為で、希望者全員分ご用意いただきました。

お昼前に矢掛商店街に戻ってきた一行。あいにくの雨空でしたが、最後の食事を商店街で楽しみます。うどんどうさんのうどん、寶来さんのお寿司などが人気の様子。カフェで過ごしたという人や、水戸岡鋭治氏設計の道の駅を見学していたもいらっしゃったようです。DMOの事務局長のご挨拶と見送りを受け、道の駅を後にします。

地元の農産品も最後にみてほしい!ということで、近くのJA矢掛宿場の青空市「きらり」で、お買い物タイムを楽しみます。地元の新鮮な野菜や果物をリーズナブルに購入できるのが特徴。野菜や調味料が人気でした。

雨足がだんだん強くなってきましたが、倉敷の美観地区を散策。残念ながら大原美術館は時短営業。観光客の姿も少なめです。一方で、歴史ある街、矢掛町と倉敷それぞれの良さを実感したという声も聞かれます。

いよいよ最終目的地の広島空港へ、1時間半ほど走ります。途中のサービスエリアでは、お土産を選ぶ参加者が目立ちました。

広島空港で解散し、各自チェックイン。多くのお土産、重くなったキャリーケースを預け入れ、レストランで最後の一杯という人、まだまだお土産を買い足りない、という人も。やはり人気は「もみじまんじゅう」のようです。

帰りもスプリング・ジャパンで成田空港へ。なんと機内では、銚子電鉄のぬれ煎餅と2日乗車券がプレゼントされるサプライズ。これはスプリング・ジャパンと銚子電鉄のコラボ企画の一環。「次の旅行先が決まった!」と喜ぶ参加者の声もありました。

一人旅には一人旅の、団体旅行には団体旅行の良さがあります。団体ツアーとして実施した今回、本来は自己紹介したり、みなさんで楽しみながら食事する時間を設けたいという希望は多くありました。緊急事態宣言が明けていたとはいえ、設けることはできませんでした。

そんな中、事務局では指定のハッシュタグを通じて交流ができるよう、Twitterへの投稿を促すことに。最初は躊躇していた人も、景色や食べ物、ちょっとした雑談など、徐々に投稿が増えていき、事務局の「やかっぴー」も交流に参加しつつ、どんなスポットが人気なのかな?と楽しみながらみていました。

今回の反省点を活かし、次回(があれば)は矢掛の奥深さを知っていただくツアーにしたいと思います。参加者のみなさま、ご参加いただきありがとうございました。スプリング・ジャパンの客室乗務員さんの矢掛町レポートはこちらからご確認できます。