約7万人来場予定の日本ダービーで本領発揮へ 時刻表にない幻の“競馬特急”を見逃すな

————あなたは「競馬特急」を知っているか?

5月29日、東京競馬場にて「日本ダービー(東京優駿)」が開催される。約1万席の指定席入場券と、6万枚の(立見)入場券が発売済みで、あわせて約7万人の来場が見込まれている。一方、会場アクセスを担う京王線では、2022年2月のダイヤ改正で設定された新宿直通列車が設定されているが、時刻表に掲載されないためか、その存在は謎のままだ。

府中競馬正門前駅は、京王線の東府中駅から分岐する京王電鉄競馬場線の終着駅。駅名の通り、東京競馬場の正門最寄駅だ。駅の性質上、競馬開催日に多くの乗客が押し寄せるのが特徴だ。

京王線では、特急列車などを東府中駅に臨時停車させ、競馬場線を増発することで乗客の便宜を図ってきていた。加えて、新宿に直通する列車を臨時で設定してきた経緯がある(コロナ禍で観客を受け入れなかったり、大きく制限していた2020・2021年は設定されていなかったが)。

府中競馬正門前からの新宿直通列車は、長年新線新宿行きの急行と、2018年からは京王線新宿行きの準特急が設定されていて、沿線のファンからは「競馬急行」「競馬準特」と親しまれてきた。

しかし、2022年2月のダイヤ改正で、特急に吸収されるかたちで、準特急が消滅。ダイヤ改正に合わせた路線図では、府中競馬正門前駅が告知なく「特急停車駅」になり、注目されていた。

そして4月23日には、今シーズンの東京競馬場のレースが初めて開催。同時に、府中競馬正門前発の特急列車(東府中駅臨時停車)、「競馬特急」が走り始めた。この「競馬特急」はおよそ30年ぶりの設定となった。

そしてきょう5月29日には「日本ダービー」が開催。約7万人の来場が見込まれる中、新しくなった輸送体系はしっかり本領を発揮していくのではないだろうか。

日本ダービー前日の「競馬特急」をウォッチ

実際に、日本ダービー前日、5月28日の「競馬特急」の運行の様子をウォッチしてみた。

府中競馬正門前駅の「競馬特急」の発車時刻は、午後4時22分発と同42分発。この日の最終レースは午後4時25分発走であったため、最終レースを見ずに引き上げてきた人は1本目の「競馬特急」に、最終レースを見て帰路に就いた人は2本目の「競馬特急」を利用するチャンスがあったのではないか。

午後4時台はこの「競馬特急」を含めて12本が設定され、ほとんどの列車が東府中駅で臨時停車する特急に連絡している。しかし、乗り換えなく新宿方面に向かうことができる「競馬特急」の利用者が目立った。

1本目の「競馬特急」は座席に余裕がある状況で出発。2本目は、改札に近い後方車両で立ち客がある状態での出発となった。いずれも改札から遠い前方車両には余裕があった。

2本目の「競馬特急」には筆者も乗車してみた。競馬場線から京王線に転線する東府中駅にて、場内待ちはあったものの、運行は非常にスムーズだった。新宿までのアクセスの良さは特筆すべきだろう。

なお、日本ダービー開催日は、例年の通常の東京競馬の開催日と異なるダイヤで運行しており、「競馬特急」などの設定も異なる可能性がある。東京競馬場に足を運ぶ際は、ぜひ会場への”本命”、京王線にも注目してみてほしい。