ランチに1,000円追加で新幹線の運転体験 都心のホテルにE5系の本格シミュレータが登場

日本の新幹線システムの海外向けセールスにも使われたE5系新幹線の運転シミュレータが、千代田区のホテルメトロポリタン エドモントの1階ロビーに登場した。2023年3月までの期間限定で、実車さながらの迫力ある運転体験を楽しめる。

モックアップは全長約3.7メートル、幅約2.4メートル。運転台の計器類やハンドル・スイッチ等には実機器が使われ、実車同様に作られている。新幹線用の信号システム(デジタルATC)や各種計器・モニターの動作を忠実に再現し、最高時速320キロのリアルな運転体験ができる。運転席も実物と同じシートを備え、走行中の環境音やモーター音も実際に収録したもの。走行シーンもCG映像ではなく実写映像が使われている。

運転体験は「初級モード」と「上級モード」の2種類が用意されている。区間はいずれも東北新幹線の小山〜宇都宮駅間で、初級モードはガイダンス付きのチュートリアル。一部区間をスキップしながら、約5分で新幹線の運転操作を学べる。一方の上級モードは所要時間約10分で、ガイダンスなしで小山駅から宇都宮駅までじっくり運転を楽しめる。なお、実際は小山〜宇都宮駅間で時速320キロ運転を行うことはないが、シミュレータではこの区間でも320キロまで出せるように設定しているという。

E5系新幹線のシミュレータはさいたま市の鉄道博物館にも設置されているが、今回登場したシミュレータは全く仕様が異なるという。こちらはもともと国際展示会向けのもので、業務用シミュレータ開発を手掛ける音楽館がJR東日本の監修で2014年に3台製作したうちの一つ。同年から2017年にかけ、ドイツやマレーシア、シンガポール、インド、アメリカなど世界各地で、当時の安倍晋三首相らによる日本の鉄道システムのトップセールスにも使用されていた。その後は音楽館が保管していたが、JR東日本が1月7日から展開している新幹線の周年記念キャンペーン「新幹線イヤー2022」に合わせて貸し出された。日本で一般公開されるのは初めてだ。

運転体験は対象宿泊プランまたはレストランプランの利用者限定。宿泊プランは1室につき40分の運転体験ができ、1泊朝食付きで1室あたり16,500円から。レストランプランはダイニングカフェ「ベルテンポ」でのランチビュッフェと運転体験がセットで、1グループにつき25分の運転体験ができる。平日3,700円、土日祝4,200円(5月1日から5日までは4,400円)の通常のビュッフェ料金に加え、1グループあたり1,000円の体験料金が必要。予約枠はレストランプランが1日最大4枠、宿泊プランは1日最大10枠。

まずは第一弾として7月15日までの予約を受け付けているが、レストランプランが特に好評で、4月12日現在の予約件数は70件ほど。担当者によると「お父さんとお子さまというような家族連れのご利用が多い。鉄道ファンの方々にもぜひお越しいただきたい」という。

メトロポリタンホテルズではこのほか、池袋、丸の内、川崎、さいたま新都心の4ホテルで、客室に京浜東北線や八高線の運転シミュレータを設置した「JR東日本トレインシミュレータルーム」を販売している。

▲3つのモニタには速度計、車両情報、情報管理システム「S-TIMS」の画面が表示される

▲ブレーキハンドル周り

▲マスコンハンドル周り

▲足元には警笛ペダルが

▲列車番号「299B」。列車名は「やまびこ299号」といったところだろうか

▲2014年製ということで、E2系+旧塗装のE3系L編成という懐かしい組み合わせの列車が走ってくる場面も