エアバスと川崎重工業、水素社会の実現に向けて協力 水素輸送や航空機への補給などのサプライチェーン構築に向け調査

エアバスと川崎重工業は、水素社会の実現に向けて協力する。水素の空港への輸送や航空機への補給など、サプライチェーンの構築について調査する。

水素は二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして、約40か国でインフラ整備が進められている。日本では、2030年に300万トン、2050年に日本の燃料消費の20%を占め、現在のLNGと同規模の2,000万トンの水素の活用を見込んでいる。

川崎重工業は、ロケットに搭載される液化水素の極低温技術を有している。水素はマイナス253度の極低温とすることで、気体から液体へと変わり、体積が800分の1に減少するため、効率良い運搬ができる。この技術はマイナス163度で運搬する液化天然ガス(LNG)の輸送技術を活用している。日本・オーストラリア政府と協力し、神戸まで運搬する実証実験にも成功している。

オーストラリア南部のラトロブバレーの地下約5メートルには、日本の総発電量の240年分に相当する膨大な量の褐炭が埋蔵されている。乾燥すると発火しやすいことから輸送することが困難で、これまで活用されていなかった。

エアバスは2020年9月、世界初となるゼロエミッション旅客機「ZEROe」のコンセプト機を3種類発表している。水素を動力源としており、2035年までの実用化を目指している。

エアバスの北アジア地域代表兼エアバス・ジャパン代表取締役社長のステファン・ジヌー氏は、温室効果ガス排出ゼロには業界の枠を超えた取り組みが必要とした上で、「パートナーシップの締結により、航空機の運航における、排出量実質ゼロ、脱炭素社会を実現するという政府の取り組みを加速、促進することができる」と述べた。