どうなる?JAL国内線の運賃リニューアル 隠れたメリットも【コラム】

JAL

JALグループは、2023年4月12日搭乗分から国内線運賃を全面的にリニューアルする。実際にどう変わるのか、詳しく見ていこう。

「先得」「特便」など廃止 3種類のシンプルな運賃に

現在の大人普通運賃や「特便」、「先得」などの9種類の運賃を廃止し、「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」の3種類へ統合する。

大人普通運賃は搭乗日まで購入できる「フレックス」、各種特便運賃は搭乗1日前まで購入できる「セイバー」、各種先得運賃は搭乗28日前まで購入できる「スペシャルセイバー」になる。いずれも混雑状況によって価格が変動する。

今回の変更で、国際線に似た運賃体系となった。気になる割引運賃については、「スペシャルセイバー」が現在の「先得割引」に、「セイバー」が現在の「特便割引」に相当する。

各路線の運賃はまだ公表されていない。割引運賃は他社の動向も踏まえて設定されているため、運賃水準は大幅に変化することはないだろうとの見方もある。

クラスJ・ファーストクラスの運賃も変更、当日アップグレードは継続

JAL A350 F

新しい運賃では、国内線の多くの路線で設定しているクラスJに「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」を、東京/羽田〜札幌/千歳・大阪/伊丹・福岡・沖縄/那覇線と、大阪/伊丹〜沖縄/那覇線、東京/羽田〜石垣線(期間限定)に設定しているファーストクラスには「フレックス」「セイバー」を設定する。

現在、普通席を基準に運賃を設定し、全路線一律でクラスJは1,000円、ファーストクラスは8,000円の追加料金を設定しているが、新運賃では、クラス別に独立した運賃を設定する。各クラスの運賃は距離などに応じて路線別に設定する。沖縄/那覇・宮古・石垣発着の長距離路線では、普通席とクラスJの運賃差が現在より広がることが予想される。

当日空席があれば、普通席からクラスJ・ファーストクラスに、またクラスJからファーストクラスにアップグレードできるサービスを継続するとしている。アップグレード料金は未定で、変更される可能性もあることに留意したい。短距離路線であっても、値下げされるとは考えにくい。

往復利用・乗継利用がより有利に

現在の「先得」「特便」は、搭乗区間ごとに運賃が設定されていて、2区間以上を購入した場合の費用は、各区間の運賃の合計となっている。現在の往復割引は、普通運賃からの割引となっている。

新しい運賃では、往復利用時に「フレックス」「セイバー」「スペシャルセイバー」 の運賃を組み合わせ、各運賃から5%を割り引く「往復セイバー」を設定する。これにより、割引運賃「セイバー」「スペシャルセイバー」から更に割引を適用することができる一方、現在の往復割引と異なり、どの運賃の組み合わせでも予約変更はできなくなる。

複数の便を乗り継いで利用する場合、出発地から最終目的地までを通しで購入することを条件に乗継運賃を設定する。現在の乗継割引では、先得運賃を区間ごとに購入するほうが安価になるケースも多かったが、新しい乗継運賃では「セイバー」「スペシャルセイバー」「往復セイバー」にも設定され、割引率は現行より良くなることが期待される。

現在の運賃体系では、JALグループが多くの空港に就航している南西諸島発着の利用者が、東京や大阪など直行便が少ない、もしくは設定がない場合、乗継客が途中まで他社を利用するケースが多く見受けられたほか、ANAと比較して、地方同士を結ぶ路線の設定や価格競争力が乏しかった。今回のテコ入れでは取りこぼしていた乗継客や往復客をJALグループで囲い込みたいとみられる。

小児割引・障がい者割引・介護福祉割引はお得に?

ベースとなる各種運賃より一律で割引を適用する「ディスカウント方式」を導入する。小児割引は25%、障がい者割引は20%、介護帰省割引は10%の割引を適用する。割引率は低下するものの、スペシャルセイバーやセイバー運賃にも割引を適用でき、ファミリー利用の費用負担が軽減されることが期待される。なお、小児の株主割引、特定路線離島割引利用時は、各運賃の50%引きとなる。

株主優待やスカイメイト、シニア割引など継続

株主割引、スカイメイト、当日シニア割引、離島割引などは、価格変動のない運賃として継続する。JALビジネスきっぷは、「JALカード割引」として継続するが、普通運賃の廃止に伴い、運賃額・運賃規則などが変わる可能性がある。

JALは3月末に国土交通省へ運賃の届け出を行い、2023年4月12日搭乗分以降は、新しい運賃での販売をスタートする。どのように変化するか、目が離せなさそうだ。