ANA、持続可能燃料の利用促進へ新プログラム 参加企業にCO2削減証明書

全日本空輸(ANA)は、廃油や植物などを原料とした持続可能な航空燃料(SAF)の活用拡大に向けたプログラム「SAF Flight Initiative For the Next Generation」を策定した。出張などで航空機を利用する法人や、物流・貨物事業者などから、SAFにかかるコストを分担する参加企業を募り、航空輸送におけるカーボンニュートラルを推進する。

気候変動対策の取り組みが活発化する中、世界では企業に対し二酸化炭素(CO2)排出量の開示などを義務付ける動きがあり、ESG経営の推進状況が投資判断の対象として扱われる傾向にある。ANAが今般立ち上げたプログラムは、従来の化石燃料に代わるSAFのサプライチェーン構築などをANA主導で進め、SAFの量産・利用を推進することにより、参画企業のCO2排出量削減に貢献するというもの。従業員が出張等で航空機を利用する一般企業を対象とした「コーポレートプログラム」と、物流・貨物事業者を対象とした「カーゴプログラム」の2つを立ち上げ、参画企業には第三者機関の認証を受けたCO2削減証書を発行する。

プログラム策定に際し、日本通運、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスのフォワーダー3社がカーゴプログラムへの参画を表明。取り組みの第一弾として9月29日、SAFを使用した東京/成田〜フランクフルト線の貨物専用便を3社とともに運航した。ANAによると、SAFを使用した航空機を顧客とともに運航するのは国内航空会社として初めてだという。

▲日本通運の長島敦常務執行役員(右)にCO2削減証書を授与するANA Cargoの外山俊明代表取締役社長

羽田空港の格納庫で10月14日に開かれたプログラムの発表会見では、CO2削減証書がANAから3社に授与された。ANAの平子裕志代表取締役社長は、「SAFの具体的な取り組みは欧米諸国で先行しており、日本は大きく立ち遅れている」と危機感を示しており、国内での理解促進や浸透のための取り組みを急ぐ考えだ。

なお、コーポレートプログラムは開始準備を進めている状況。ANAの井上慎一専務執行役員は、「日本におけるCO2削減の取り組みの歴史的な第一歩になる。業界を超えてSAFのムーブメントを起こしていきたい」と強い意気込みを示している。