ANA、羽田に“完全無人会計”の土産物店 急ぎのときもスピード購入

全国の空港でギフトショップなどを展開するANA FESTAは8月27日、無人決済システムの開発を手掛けるTOUCH TO GO(TTG)と共同で、無人決済店舗「ANA FESTA GO」を羽田空港にオープンする。

店内には無人決済AIシステムが導入されており、入口ゲートから店内に入った利用者が商品を手に取ると、店内に設置されたカメラとセンサーで商品の種類や数をリアルタイムに認識する。利用者はそのまま会計スペースに立つだけで購入金額が自動的に計算され、無人レジで料金を支払うと買い物が完了する。決済手段は交通系電子マネー、クレジットカード、現金に対応しており、QRコード決済も今後導入するという。会計時にANAマイルが付くカードなどを読み込ませることで、購入金額100円につき1マイル、ANAカード決済ではさらに200円につき1マイルが付与される。また、通常の店舗と同様に、ANAカード保有者で1,000円(税込)以上購入する場合には会計が5%引きになる。システムを正確に運用するため、一度に入店できる人数は10名までとなっている。

店舗は第2ターミナル地下1階の東京モノレール北口改札付近。以前同じ場所に出店していた「ANA FESTA」を2分割し、その半分を改装して開業する。約40平米の売り場に、土産用の菓子類やANAオリジナル商品、弁当・飲料、雑貨など約100種類を揃える。商品は羽田空港のANA FESTA全店舗の人気商品を中心に取り揃え、価格帯ごとにランキング形式で陳列することで目的・予算別に選びやすくなるよう工夫している。なお、もう半分は有人店舗「ANA FESTA 羽田 B1 フロアギフト店」として同日に改装オープンする。

▲「ANA FESTA GO」の店内

ANA FESTAによると、「手早く定番のお土産を買いたい」という特有のニーズがある空港のギフトショップでは、以前から会計のスピード感が求められていたという。同社はこの課題解決のため、Amazonが手掛ける無人店舗「Amazon Go」をヒントに、約4年前から無人店舗の立ち上げを検討。RFIDなど他の無人決済システムなどと比較検討し、TTGのシステムの導入を決めた。

TTGはJR東日本グループのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)であるJR東日本スタートアップと、ITソリューション開発などを手掛けるサインポストが2019年に設立した合弁企業で、主に働き手不足の解消を目的とした無人決済システムを小売店などに提供している。

「ANA FESTA GO」の大きな狙いは会計のスピードアップだが、店舗の省人化・省力化への貢献もある。ANA FESTA東日本支店の牛尾隆之支店長によると、改装前の店舗は1シフト3〜4人体制の3シフト制だったが、店舗の半分を無人化したことにより1シフト1〜2人体制を実現。人件費は約3分の1に圧縮でき、「無人決済システムの利用料を考えても十分ペイできる」という。今後は複数店舗を持つ拠点空港に加え、働き手が不足している地方空港の店舗への展開を検討する。