ANA、庄内就航30周年 オンライン日本酒ツアーで「食の都・庄内」発信

全日本空輸(ANA)グループのANA Xは、ANAの庄内就航30周年を記念したオンラインツアー「山形・酒田の酒で今夜はじょうきげん」を5月29日に開催した。

コロナ禍で始まったANA Xのオンラインツアーの第9弾。これまでは、客室乗務員が案内するホノルルツアーや機内食工場の見学ツアーなど、ANAならではの趣向を凝らしたツアーが実施されている。今回は東京/羽田〜庄内線の就航30周年を記念し、庄内空港が立地する山形県酒田市の協力を得て、酒どころとして知られる同市の地酒にフォーカスした内容を企画した。

ツアーの見どころは地酒「上喜元」を醸す酒田酒造の酒蔵見学。同酒造は通常、一般向けの酒蔵見学は受け付けていないため、日本酒好きにとってはまたとない機会だ。さらに、市内の地酒専門店「木川屋酒店」の店主が庄内地方の酒と酒造りについて解説する。試飲セットとして市内4軒の酒蔵から厳選された地酒4本(300ミリリットル瓶)が付いて、ツアー代金は3,000円。同市の助成を受けた特別価格で、5月11日の発売から1日で定員の100人に達したという。

酒蔵ではANA Xの社員が聞き手となって、酒田酒造の副杜氏を務める内藤大輔さんが酒造りの手順やこだわりを紹介していく。一方的な講義形式ではなく、聞き手が「麹室は木の匂いがします」、「圧搾機のある部屋は寒いんですね」など、画面から読み取れない情報を拾っていくため、画面の前の参加者もツアーに引き込まれやすい。内藤さんも「難しい言葉を使わないようにして、『日本酒って難しいな』と思われないような言葉選びを心がけた」という。木川屋酒店の代表取締役・高橋修一さんによる地酒解説では、「原酒はアルコール度数が高いのでロックで飲んでみてもいい」といった意外な情報も飛び出し、内藤さんも「氷が溶けると味わいが変化していく。それを楽しんでもらえるといいと思う」と同調した。もちろん参加者自身がチャットで質問することもでき、内藤さんや高橋さんがその場で答えてくれる。

▲(左から)ANA X 加藤梢太さん、木川屋酒店 高橋修一代表取締役、酒田酒造 内藤大輔副杜氏

今回のツアーの大きな狙いはコロナ禍後の庄内地方への誘客だ。企画に携わったANAあきんど庄内支店の前田誠さんは、「(ツアーを通して)酒田にはこんなに美味しいものがあるんだ、他の酒も飲んでみたいと思ってもらうきっかけになれば」と話す。庄内空港には「おいしい庄内空港」という愛称があり、山形県も「食の都・庄内」というキャッチコピーを掲げている。出羽三山や鳥海山に囲まれた庄内地方は芋煮をはじめとする山の幸だけでなく、日本海の幸も豊富。6月にはこうした庄内地方の魅力をさらに押し出した2回目の酒田オンラインツアーも計画しているという。前田さんは、「米など“普通のもの”も美味しいエリアなので、ぜひ実際に来て飲んだり食べたりしてほしい」とPRした。(現地写真:ANA提供)