JR九州、ファンド事業で収益拡大へ 地元企業に総額50億円投資

JR九州は、地域特化型ファンド「JR九州企業投資」を設立したと発表した。九州に事業基盤を置く中小企業などを対象として、ジェイ・ウィル・グループ(JWグループ)と共同で投資を行う。投資総額は50億円。

案件ごとにJWグループと共同でファンドを設立して出資する。出資形態は匿名組合契約。投資先にはニーズに応じて、JR九州グループとJWグループから人的支援、M&A支援、成長投資等のサポートも行う。投資総額は50億円で、出資比率は非開示としている。

投資対象は九州に事業基盤を置く中小企業や、地域に根差した商品やサービスを提供する企業など。具体的な投資先は現時点では未定。通常のM&A(企業買収・合併)に加え、柔軟かつ機動的な投資形態を確立する。ファンド事業により、グループの収益機会の拡大や主力事業強化・領域拡大に加え、後継者不足やコロナ禍で業績が悪化した地元企業を支援。地域課題の解消を目指す。

JR九州企業投資の職務執行者を務めるJR九州 取締役常務執行役員 総合企画本部 経営企画部長の森亨弘氏は、「九州を元気にするというのが我々グループの理念。九州の企業をなんとかしたいという思いでスキームを立ち上げた」と設立の背景を説明する。JR九州はこれまで、建設機械販売のキャタピラー九州や、飲食店運営などを手掛ける萬坊などに対しM&Aを行っている。森氏は、「これまでは我々の事業とシナジーがあるものについては直接M&Aを行ってきた」と説明し、ファンド事業では「直接のシナジーが見込めなくてもブランド力があるところなどをターゲットにしていきたい」とした。今回はJWグループとの共同投資となるが、今後は単独での投資も視野に入れ、ファンド事業を新たな収益の柱の一つとしていく考えだ。