1泊1,400円で、しかも“大浴場”完備のホテル、それが「PARK INN」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(5)】

凄かった。ものの見事に、やっていない。

西成の商店街はもとより、北側のJR線路の反対側のジャンジャン横丁も、通天閣付近までも、全て閉店。午後8時以降は閉店すれば、休業補償で毎日6万円が受け取れるという政府の施策があるにせよ、個人経営の小さな店舗ならともかく、100名以上入店可能な店舗、それも通常は24時間営業の串カツ店などまで、おしなべて閉店していた。

こう言っては本当に申し訳ないが、大阪の人々は、僕が想像しているよりもずっと真面目だ、と感じた。

そこで僕はまた前回同様にコンビニでアルコールと食事を購入して部屋に戻り、3畳一間で、「ひとり反省会」となり、エアコン等の設備が無いゆえに、浴衣ではなく、これまた前回同様に、外と同じ格好で眠りについた。

そして、翌朝。障子のみでカーテンの無い部屋ゆえに、午前7時すぎには部屋も明るくなった。網戸が無いのでエアコンの無い部屋は夏場は辛いかもしれないが、冬の時期は特に不便を感じることはなかった。窓を開ければ向かいの建物がそびえたっていたが、眺望を求めているわけではないので、特に問題は無い。

フロントも午前7時半ごろではまだシャッターが下りていたが、午前9時過ぎには開いていて、鍵を渡してチェックアウト完了。フロントが稼働していない場合は左側の返却ボックスに返却する方式だ。

やはり、緊急事態宣言中だからであろうか、西成の朝は通常よりもとても静かだった。

ほぼ誰もいない大通りで、フェイスシールドなどで安全面を考慮した”ちんどん屋さん”が、3人体制で適度な音を鳴らしつつ、歩いていた。

■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「Ontrip JAL」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

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