新生「るるぶトラベル」からわかる、JTBとAgodaの目指すものとは?【永山久徳の宿泊業界インサイダー】

2020年2月17日 月曜日 10:05 午前

Googleトラベル

既に海外でスタートしている「Googleトラベル」は上記の両極に対応しており、泊まりたいホテルが決まっているユーザーにはメタサーチとして条件比較を行い、次の旅行先が決まっていないユーザーに対しては購買パターンや趣味嗜好、家族構成や交友関係などを考慮した「提案」を行う。「そろそろ恒例の結婚記念日旅行の計画を立てるタイミングですね。奥様の好きなワインの産地を訪ねるこんな旅はいかがでしょう」「航空券の価格の上がる前に次回の出張の準備が必要では?あなたの行動パターンでは前回泊まったホテルより安くて便利な場所があるのでご検討ください」という先回り提案を可能にするのが彼らの直近の目標だと考えられる。しかし、後述するが、国内OTAが従来の日本型の検索方法のままでは、追随どころかその枠内にも入り込むのは難しい。その意味では今回のるるぶトラベルのAgoda型へのリニューアルは、痛みはあったものの未来を見据えて避けては通れなかったものであったともいえる。

現在のOTA市場は、ユーザーから見えていない部分で大混乱の状況を呈している。そのきっかけはメタサーチの台頭だ。メタサーチに表示させることで世界中のOTAが世界中のホテルを売ろうとしているが、それぞれのホテルが何万社のOTAと契約して客室を提供することはもちろん不可能だ。そこで各OTAは提携販売やアフィリエイトを駆使して相互にホテル客室を「転売」する仕組みを構築している。ここではライバル同士の提携も当たり前だ。そこには我々の知るOTAだけではなく、デイトレーダーの如くマンションの一室のPC一台で自動的に客室の仕入れと提供を繰り返す「仮想旅行会社」の存在すらささやかれている。このような「提携販売」が各OTA間で網の目の如く行われているため、究極的にはホテルは「自社サイト+OTAどこか1社」に客室を提供すれば世界中で販売できる状態になってしまう。その場合最も問題になるのは「ホテル情報の共通化」だ。例えば、海外OTAのようにベッドサイズはクイーンかキングといった選択肢しかないページに日本旅館のように「12畳5名まで」というデータは送り込めず、翻訳ミスやエラーが生じてしまうことがある。結果的に海外の提携先OTAから数社を経由して日本のホテルに予約が入った場合、大きなトラブルに繋がってしまう原因になってしまう。国内OTAとはいえ、海外OTAと共通のデータベース、プラットフォームを意識せざるを得ないのはもはや必然でもあるのだ。そうしなければ「OTAどこか1社」には選ばれなくなってしまうからだ。JTBはAgodaと提携することでその波に対応しようとした。そう考えればこの提携は大きな意味のあるものだといえる。

しかし、初動のミスが重なり、検索できない施設、販売できない施設が多数生じてしまったことは事実であり、「Agodaの強みであるデジタルテクノロジーと、JTBの強みである仕入・ネットワーク力及び旅行販売ノウハウの相乗効果を狙う」ための提携には想像以上の困難があったことが明らかとなった。JTBにおいては、国内ユーザーに対する圧倒的な認知度と信頼感を活かし、「メタサーチ時代」を乗り越え、その先を見据えた戦略と結果を一日も早く我々に示してもらえることに期待し、新サイトの発展を見守りたい。

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