離島住民の買い物をドローンがサポート ANAHDらが五島列島で実証実験

ANAHD ドローン

ANAホールディングス(ANAHD)は、NTTドコモとドローンメーカーの自律制御システム研究所(ACSL)、ドローン事業を手掛けるプロダクションナップと協力し、長崎県五島市で自動操縦のドローンによる無人物流の実証実験を開始した。将来的に同市内の11の有人島間においてドローン物流の実用化を目指す。

実証実験では、物流用にカスタマイズされたACSL製のドローンを使用。五島列島で最大の島である福江島で販売されている食品や生活用品、衣料品などを、周辺の赤島および黄島に輸送する。赤島は福江島から約7キロ沖に位置し、10世帯13人が暮らす。島内に商店はなく、食品などは福江島に買い物に出たり取り寄せたりしているという。黄島は福江島から約8キロ沖に位置。25世帯35人が生活しており、民宿や商店もある。3島間は1日2便の定期船で結ばれている。

ANAHD ドローン

今般の実験にあたっては、赤島と黄島の両島民に商品カタログが配布されており、好きな商品を電話で注文する。実験がメディアに公開された9月26日は巻き寿司などの注文があり、福江島のスーパーから赤島と黄島にそれぞれ輸送。ドローン出発地点の福江島塩津港から赤島までは約13分、黄島までは約15分で到着した。

ANAHD ドローン

普段は定期船で食品を取り寄せているという黄島の島民は、ドローンで届けられた巻き寿司を手に「便利になった」と喜んだ。

ANAHDデジタル・デザイン・ラボの保理江裕己ドローン事業化プロジェクトリーダーは、ドローンを使った物流に取り組む理由を「(ANAは)ヘリ2機から始まった会社。モビリティを変えて空の移動を提供してきた。次の時代のチャレンジがドローン」と説明する。福江島にはANAグループも就航しているため、将来的には飛行機とドローンを空港で連接させる構想もあるという。

五島市での実証実験は9月25日から10月4日までの10日間行われる。このほか、2020年1月頃にも第2期検証を実施する予定だ。

ANAHD ドローン

▲注文された商品を専用の箱で梱包

ANAHD ドローン

▲箱をドローンに搭載

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▲福江島塩津港を離陸するドローン

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▲洋上を飛行し、黄島に接近するドローン

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▲黄島に着陸し、商品が島民に届けられる

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▲訓練を受けたオペレーターがドローンを遠隔で管理している

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▲赤島に着陸したドローンを監視するモニター

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