キャセイパシフィックグループ、2019年上期決算は約183億円の黒字 米中貿易摩擦や訪港客数減少に懸念も

キャセイパシフィック航空(エアバスA350-1000型機)

キャセイパシフィックグループは、2019年度上半期(2019年1月〜6月)の決算を発表した。

純損益は13億4700万香港ドルの黒字(約183億1900万円、前年同期は2億6300万ドルの赤字)だった。燃油価格の下落が利益を押し上げた一方で、米ドル高が押し下げ要因となった。

旅客事業の売上高は、374億4900万香港ドル(前年同期比5.6%増)となった。2018年と2019年に開設した新路線や既存路線の増便、高需要路線への大型機投入などが売上高増加の大きな要因となった。座席占有率は84.2%で前年同期と同じだった。旅客数は1830万人(同4.4%増)で、上級クラスと長距離路線のエコノミークラスでの競争激化と為替変動の影響により、RASK(有効座席キロ)は54.9香港ドル(同0.9%減)となった。

貨物事業の売上高は、114億9800万香港ドル(同11.4%減)となり、米中貿易摩擦の影響によって輸送量、貨物単価ともに低下した。新たに受領した旅客機の貨物搭載スペースが増えたことから、貨物輸送能力は1.1%増強された。需要の低迷によって、貨物専用機の運航を調整し、特殊貨物の輸送に注力した。結果として貨物占有率は63.4%(同4.9%減)、貨物輸送量は97万9000トン(同5.7%減)、イールドは1.88香港ドル(2.6%減)となった。

ボーイング777型機のエコノミークラスには最新の座席の導入を開始したほか、機内エンターテインメントのプログラム数も拡充している。機内Wi-Fiは全てのエアバスA350型機で提供しており、ボーイング777型機とエアバスA330型機全機への実装も進めている。長距離路線のビジネスクラスでは、レストラン形式による新たな機内食サービスの導入を進めているほか、上海・浦東国際空港のラウンジのリニューアル、大幅遅延時の再予約手順の変更など、サービス改善も図っている。

下半期の業績は上半期を上回ることが通例で、今年度も例年通りとなる見通し。キャセイパシフィック航空のジョン・スローサー会長は声明で、「国際政治的緊張の高まりと貿易摩擦の深刻化により、世界経済、ひいては旅客と航空貨物の需要が影響を受け続けるものと思われる」として警戒し、「香港における抗議活動により7月の香港へのインバウンド旅客数は減少し、この先の予約状況にも悪影響が及んでいます」と先行きを懸念した。一方で、香港エクスプレス航空の買収完了などの明るいニュースなどもあり、「ネットワークを拡げながらキャセイパシフィックグループとの相乗効果を最大限に高めていく」とした。

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