8日間のアメリカ縦断旅 “北米往復、運賃6,000円”の謎の航空会社を検証せよ【レポート】

シアトル着、マーケットと薄いコーヒーにアメリカを感じる。

シアトルではパイク・プレイス・マーケットを訪れた。シアトルのガイドブックには必ず載る有名なスポットで、服などの日用品や雑貨、魚市場など様々なお店が集結している。

ここを利用する地元の人も多いようで、シアトルの生活を垣間見ることができる。頭上のネオンサインもおしゃれで歩いていて楽しい。

偶然歩いていて見つけた「The hart and the hunter」というカフェへ。ハリボテ感がなくてセンスが良い内装が写真映えしそうだ。期待通り、アメリカンコーヒーの味は薄くて、中華料理に慣れた味覚をアメリカモードにリセットしてくれる。

ポートランドまでBoltバスで移動。破天荒なシートに遭遇。

シアトルからポートランドまではバスで3時間30分程度。3,000円という運賃の安さと時間の良さから、Boltバスを利用した。

乗り込んだ瞬間異様な光景を目撃した。半分ぐらいのシートがズタボロなのである。他の乗客は特に違和感を感じる様子もなく、涼しい顔で座っているのだが、これでクレームが出ないレベルなのだろうか。

日本の水準からすると絶対にあり得ないので、この旅の行く末も、この会社の行く末も、少し不安になりながら乗車していた。車内ではWi-Fiがあるのだが、下り0.2MB程度の実力しかないのでおまけ程度のものである。

暮らすように旅する。ポートランドは粋な街。

ポートランドではAirbnbで一軒家の物件を貸切で予約した。この「でかさ」にも関わらず、一人3,000円というリーズナブルな価格だ。

ポートランドは、地元の人が自分達の手で作ったものを持ち寄るファーマーズマーケットや、いたるところにある多彩なフードカート、ドーナツとコーヒーが魅力的な街だ。

ふらりと入った雑貨店のプレートにあった「美しいものがありすぎて、あなたを泣かせてしまうかもしれない」というフレーズ。コンセプトから作り込んだ店がたくさんあり、顧客に媚びずに自分達が良いと感じるものを作るという方向性を感じる。


(写真はポートランドのシンボル的コーヒーチェーン「Stunmtown」)

確かにドカンとインパクトがあるような観光名所はないが、この街に流れる”粋”な雰囲気の中で生活をする心持ちで過ごせば、飾らないポートランドの良さが分かってくる。

まるでディズニーの乗り物!念願のアラスカ航空に搭乗

11月17日 AS1602 ポートランド(18:50)〜サンノゼ(20:38)

トライシーでの最近のトレンドは「アラスカ航空」にマイルを加算することである。同社のマイレージプログラムである、マイレージプランを利用するとJALの航空券を激しくお得に発券できるのだ。

トライシーでは、その破壊的なコストパフォーマンスの高さを「アラスカ砲」と呼んで親しんでいる。この記事で解説するには複雑すぎる内容なので、興味のある方は以下の記事を読んでみてほしい。

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今回はそんなアラスカ航空で、ポートランドからサンノゼまで移動した。機内は紫と青色のライトで照らされており、なんとなく東京ディズニーランドの「スペースマウンテン」のような雰囲気を感じる。

1時間50分ほどの短距離路線だが、クッキーと飲み物がもらえた。

乗っていて少し気になったのは、ディスプレイを操作するリモコンに「ケーキ」のボタンがあったことだ。これを押すとどうなるのか大変気になったが、本当にケーキが運ばれてきても困るので押さなかった。

シリコンバレーはIT企業の街

サンノゼに到着したのは夜だったので、空港近くのIN-N-OUTというハンバーガーチェーンでテイクアウトした。実は今回の旅ではほぼ毎日ハンバーガーを食べていたのだが、この店のチーズバーガーが一番美味しかった。

宿はまたもAirbnbで予約した一軒家の物件。大きなデッキスペースの奥にはプールとジャグジー、さらに果樹園がある。

サンノゼといえばシリコンバレーなのだが、立地条件からしておそらく数億円はしそうな家だと思う。「うちのWi-Fiは5Gより高速だ」というオーナーのジョークも、シリコンバレーらしくて笑えた。

シリコンバレーにはAppleやGoogle、Facebookなどの名だたるIT企業がオフィスを構えており、紹介がないと内部には入れないのだが、一般観光客向けに見学できるスペースも用意されている。

昨年できたばかりのAppleの本社施設「Apple Park」にある、ビジターセンターという施設では、最新のApple製品や限定グッズが販売されており、誰でも入れる。筆者が訪れた際には、一般客向けに大スクリーンで音楽編集講座をやっていた。

併設のカフェもあり、休憩するのにも最適だ。

夜行バスでロサンゼルスへ

ロサンゼルスからシアトルまでは、Greyhoundというバス会社の夜行を利用した。23:15発という時間帯だったが、バス停付近のSan Pedro Square Marketには深夜まで営業している酒場も多く出発前の時間を過ごすのに最適だ。

前述のBoltバスと比べると、シートもしっかりしており安心できる。乗っていて特に不満は感じなかったが、客層が若干悪い印象を受けたので、貴重品の管理には注意した方が良いだろう。

乗車の2時間前にオンラインチェックインをしなければならないという、意図がよく分からない関門があるため、現地でネット回線を持っていないと利用しづらいかもしれない。

キックスケーターだらけのサンタモニカ

ロサンゼルスのダウンタウンから電車で1時間ほど行ったところに、サンタモニカという海辺の街がある。街から海に突き出した「サンタモニカ・ピア」と呼ばれる桟橋沿いには、たくさんの飲食店やテーマパーク等が軒を連ねている。

桟橋の一番先端にあるメキシコ料理のレストラン「Mariasol」では、太平洋に沈む夕日を眺めながら食事ができる。

注文したModeloというメキシコのビールは、コロナビールをもっと飲みやすくしたようなスッキリとした味わいで、スルスルと飲めた。夕日が沈む海の向こうには、数日前に過ごした厦門があるのかと思うと感慨深い。

直近1、2ヶ月でサンタモニカの景観は大きく変わった。市がシェアードモビリティ試験への参加を表明したのが8月30日。その後電動キックスケーターシェアサービスのBird、Jump、Lime、Lyftが続々と同市で営業を開始し、現在は街中に大量のキックスケーターが溢れている。

(手前からUber、Lyft、Bird、Limeのキックスケーター)

使い方はキックスケーターについているQRコードをアプリで読み込み、使い終わったら好きな場所に放置するだけ、というシンプルな仕組み。1〜2ドル程度で使えるので短距離の非常に便利で、筆者もアメリカで実際に利用してみたが、革新的なサービスだと感じた。

Flixバスでラスベガスへ この旅で一番快適なバス会社

ロサンゼルスからラスベガスまでは、Flixバスで移動した。事件現場のようなシートのBoltバス、旅行者には若干利用ハードルが高めのGreyhoundバスと比べると、全てにおいてレベルが高い印象を受けた。

Flixバスはドイツの会社で、筆者はミュンヘンでも一度利用したことがある。チケットは今回乗った3社の中で唯一Passbookに対応しており、QRコードのみで乗車できる。

座席幅はそんなに他のバスと変わらないのだが、シートはとても綺麗で、運行区間にもよるかもしれないが客層も良い。唯一他のバスと比べて不便なのは、ドリンクホルダーがないことだ。

ただドリンクホルダーがないことで車内で飲食をする乗客が減って衛生的に良いという見方もあるので、一概にデメリットとも言えない。

これは完全に運転手起因なのだが、アナウンスの最中に乗客と軽くジョークの掛け合いをするタイプの方で、車内からは度々笑いが起きていた。しかし筆者含め英語が母国語ではない外国人にとっては、大事な情報を聞き逃してしまいそうになって少しハラハラした。

最終目的地ラスベガス 贅の限りを尽くした眠らぬ街

ラスベガスに着いたのは夜9時ごろ。時差を感じる暇もないハイペースな旅をしてきて疲労が溜まっているはずだが、この街にくると目がさめる。

ラスベガスのメイン通り「ストリップ」には、どこを見ても眩しいぐらい、沢山のカジノやお店が集結している。予算の心配など微塵も感じさせない豪華な建造物は、カジノというビジネスがいかにお金になるのか、世界中にアピールしているようだ。

映画「ラスベガスをぶっつぶせ」の舞台にもなった、「プラネット・ハリウッド」のカジノを訪れた。

カジノ初心者の筆者は、ブラックジャックのやり方をネットで検索した上で、試しに15ドル賭けてみた。配られた2枚のカードの合計がちょうど21で喜んでいたが、どうやらポーカーのテーブルだったようで、あっという間に15ドルが消滅した。

ラスベガスに行かれる方はブラックジャックとポーカーの区別ぐらいはつけてから臨むことを激しくオススメする。

Spirit航空で再びシアトルへ戻る

11月17日 NK896 ラスベガス(13:40)〜シアトル(16:27)

日本に向けた飛行機はシアトルから出発するので、今まで飛行機とバスを乗り継いではるばる南下して来た区間を一気に引き返す。

ラスベガス空港の搭乗ゲート前には、スロットが置いてあった。余った通貨を使って気軽に遊べるが、土壇場で熱が入りすぎて飛行機を乗り過ごさないように注意したい。

搭乗したSpirit航空は米国のLCC。受託手荷物は別途追加料金を支払わないと利用できないので、必要な場合は事前に追加しておかなければならない。無料で持ち込めるのは3辺合計100cmまでの手荷物1つまで。

今回の旅では受託手荷物に課金しなかったため、機内持ち込み荷物制限の範囲内に全荷物を収めるようにした。

機材はエアバスA320で座席は3-3配列だったが、乗客はまばらだった。機内サービスはないが、スナックや飲み物を注文することができる。

筆者は日清のカップ麺を頼んだ。アメリカでは基本ハンバーガーとピザしか食べていなかったので、いつもより美味しく感じた。

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