”もんげー”空港にならなかった岡山空港、空港に愛称を付ける動きは全国各地に拡大【コラム】

岡山桃太郎空港

岡山空港は、開港30周年に合わせて公募していた愛称を「岡山桃太郎空港」に決めた。応募総数は7,215件で、日本全国のみならず、アメリカや台湾などからも応募があった。

愛称を公募すると発表した際、Twitterには「桃太郎以外にない」といった声が溢れていたが、その通りとなった。ちなみ2位は、1989年から岡山県のトータルイメージを表現する言葉として使用を開始した「晴れの国」、3位は「桃」、4位は「吉備団子」、5位は「マスカット」「吉備」、7位は「フルーツ/果物」、8位は「どんぶらこ」、9位は幕末期の儒家である「山田方谷(やまだほうこく)」、10位は岡山弁で「すごい」という意味の「もんげー」と、大半が桃太郎に関連するワードだった。認知度やインパクトがあることや、国内のみならず海外の方にも親しみを持ってもらえ、覚えやすいことから「桃太郎」に選定委員会で決定したという。

空港に愛称を付ける動きは全国に広がっており、特に動植物や景勝地、歴史上の偉人の名が付くことが多い。変わり種としては、佐賀空港の「九州佐賀国際空港」や仙台空港の「仙台国際空港」といった、国際化というには国際線が乏しい空港、大館能代空港の「あきた北空港」や花巻空港の「いわて花巻空港」といった、空港の場所の知名度が今ひとつであることから命名した空港、石垣空港の「南ぬ島(ぱいぬしま) 石垣空港」などの愛称を正しく読める人が少ないと思われる空港、富山空港の「富山きときと空港」のような方言を入れてしまって意味を理解できない人が多いであろう空港、中部国際空港の「セントレア」、神戸空港の「マリンエア」といった初めて聞いた人にはどこにあるか思い浮かべることができなさそうな空港、庄内空港の「おいしい庄内空港」、山形空港の「おいしい山形空港」といった、そもそも愛称を付ける必要があったのか疑問である空港まで様々存在している。

2008年に当時の橋本昌茨城県知事は、記者会見で百里飛行場(茨城空港)の愛称を、英語にする際には「東京メトロポリタン・イバラキ・エアポート」にできないかと話して大きな話題になったこともあったが、批判もあり実現はできなかった。球場やフェリーターミナルなどではネーミングライツとして愛称を付ける権利を売却して収益化する動きもあり、石垣港離島ターミナルは4月から「ユーグレナ石垣港離島ターミナル」になる。宮城球場も当時派遣大手のフルキャストが命名権を年間2億円で取得し、「フルキャストスタジアム宮城」と名付けた。その後は日本製紙を経て、楽天が2014年に命名権を取得し、現在までに「楽天Koboスタジアム宮城」、「Koboパーク宮城」、「楽天生命パーク宮城」と3度愛称を変えている。今後、空港の愛称にもネーミングライツが導入される日が来るかもしれない。

ところで筆者としては、「この飛行機は、岡山もんげー空港に着陸した。」という機内アナウンスが聞けなかったことは至極残念である。