出発2日前購入でも往復5万円以下 香港航空で香港に行ってきた【搭乗レポート】

急遽、香港に行くことになった。決まったのが金曜の夜で、出発は3日後の月曜。さらに同日の便では所用の都合で帰国できず、翌火曜の便で東京に戻ると、当初予約していた、東京/羽田発札幌/千歳行きに乗れないということがわかり、泣く泣く香港〜札幌/千歳線を手配する必要が出てきた。

エイチ・アイ・エス系の航空券予約サイト「Surprice!」で調べてみると、最安は乗継便のエバー航空。これでは月曜の夕方までに香港で済ます必要がある所用には間に合わない。次に安かったのがいずれも直行便の香港航空。LCCという手もあったが、香港から札幌への直行便なはく、大阪/関西や東京/成田でのLCC同士の乗り継ぎは少々リスキーなところもある。結局出発2日前の土曜に、正規割引航空券で総額約4.8万円(クーポン3,000円分使用後)と直前にしては脅威の安さであったことから、他に選択肢はなく香港航空をチョイスした。購入するタイミングによるが、エコノミークラスは香港へ2万円台、ビジネスクラスは東南アジアへ6万円台で購入することもできる。

香港航空は、札幌/千歳・東京/成田・大阪/関西・岡山・米子・宮崎・鹿児島・沖縄/那覇の日本の8都市に就航している。2017年にはロサンゼルスとバンクーバーに就航し、2018年にはサンフランシスコとニューヨークへ就航するなど、長距離線にも力を入れ始めた。2011年の利用者数は180万人だったものの、2016年には640万人と3倍強に増加している。グループには香港を拠点とするLCCの香港エクスプレス航空もあり、近年急拡大するなど勢いがある。その他に、海南航空、西部航空、雲南祥鵬航空(ラッキーエア)、北京首都航空、天津航空なども海南航空グループの航空会社で、LCC各社はU-flyアライアンスとして連携している。

香港航空は東京/成田〜香港線を1日3便運航している。今回は午前8時30分発のHX608便と午前9時5分発のHX610便からチョイスできたのだが、HX610便を選択した。両便の機材は異なり、HX608便はエアバスA320型機、HX610便はエアバスA330-300型機で運航している。大きな違いはエアバスA330型機には機内エンターテインメントシステムが全席に付いている一方、エアバスA320型機にはビジネスクラスにしか付いていないというところだ。さらにエアバスA330-300型機のほうがエコノミークラスの座席の前後間隔が1インチ(約2.54センチ)広く、機内も開放的であることや、所要時間が約5時間であることを考えれば、HX610便のほうが賢明な選択といえる。

成田国際空港の第2ターミナルに到着したのは出発1時間半前の午前7時30分頃。搭乗手続きカウンターは離れ小島のFカウンターで、2便の出発が重なることから割と混雑していた。インターネットチェックインの列はあまり並んでおらず、できるだけ先に済ませておくのがベストだろう。インターネットチェックインは出発の48時間前から受け付けており、事前に座席を指定することもできる。地上ハンドリングはスイスポートが受託している。

インターネットチェックイン終了時にマイレージ会員への入会を勧める画面が出てきたので入会したものの、インターネットではチェックイン後には番号の入力ができなかった。一度インターネットチェックインを取り消して入力してみたものの、エラーが出てうまくいかない。理由は単純で、香港航空のウェブサイトからマイレージ会員の入会画面に遷移したため、香港航空の「HX」を選択していたものの、実は海南航空の「HU」を選択する必要があったらしい。今回はチェックインカウンターで入力してもらった。ちなみに日系航空会社各社は香港航空とマイレージの提携をしておらず、香港を拠点とするビジネスマンの友人も「マイルが貯まらない」という理由で、追い込まれない限り選択しないと筆者に話しており、幾ばくか高単価な客を落としている感じはする。ワンワールドの上級会員の中には少々高くても日本航空(JAL)やキャセイパシフィック航空を選択し、香港のキャセイパシフィック航空のラウンジで過ごしたいという人もいる。まさに私もその一人で、最終日は夕方便にもかかわらず、ラウンジが利用できる場合は午前中に空港に行くことが多い。

話が脱線したが、購入した航空券の予約クラスは「X」で879マイルが付与されるようだ。特典航空券への交換は飛行距離によって必要マイル数が異なり、最も少ない900キロ以下では、片道15,000マイル、往復22,000マイルが必要となる。沖縄/那覇を除く日本と香港間は2,001キロから4,000キロの間となり、片道25,000マイル、往復38,000マイルが必要となる。マイルを貯める手段は限られるので特典獲得までの道のりは遠いが、これだけ割安な価格でマイルが貯まるのであれば文句を言うほうが筋違いな感じもする。日本人の立場から言えば、提携社はもう少し増やして欲しいところだ。

保安検査場や出国審査場は混雑していたものの、保安検査場の入り口を見てぎょっとしたが、フル稼働しており、思いのほか早く進んだ。出国審査は自動化ゲートには列ができておらず、かかった時間は15分弱と思ったよりスムーズに進んだが、充分余裕を持っておきたい。

搭乗口は94番とサテライト側なので、出国後にも少々距離がある。先行するHX608便も86番ゲートとサテライト側で、搭乗締め切りの呼び出しアナウンスが何度も放送されていた。上級会員ではないためラウンジは使えず、連絡通路にあるカフェで時間を潰した。電源もある。

ちなみにほぼ同時刻には、キャセイパシフィック航空の香港行きもある。バンコクや台北など、搭乗率がすこぶる良い路線のフライトが多く、ターミナルが混雑するのも頷ける。

午前8時35分頃から搭乗を開始した。機内に入るとギャレーには新聞が用意され自由に取ることができ、日本語の新聞もある。エアバスA330-300型機のエコノミークラスは「2-4-2」配列(後方は「2-3-2」の列もある)。機内インテリアはカーペットとシート、壁紙の色が統一されており高級感がある。

搭乗した機体はB-LNRで、2010年にシンガポール航空がAWASからリースで導入。その後、2016年に香港航空が導入した機体で、香港航空の平均機齢が約4年台ということを考えると経年機だ。

非常口前や前が壁の座席は有料で、日本円では3,400円(香港ドルでは240HKD)で搭乗手続き時や機内で受け付けている。搭乗してみた限り、追加料金を支払って利用している人はいなかった。荷物の預け入れが無料であることから、満席でも荷物棚に余裕がある。チェックインカウンターでは機内持ち込み手荷物のチェックがされていたにもかかわらず、なぜこれが機内に持ち込めるのかわからない程大きさの紙袋を持った人もいたが、空きがあるが故にきちんと収納できていた。

機内エンターテインメントシステムはコントローラーで操作するタイプで、少々古さが目立つ。機内誌にエンターテインメントのラインナップが書かれているが、日本語の映画も用意されているものの、表記は中国語と英語で、画像も映画の一場面なのでピンとこない。映画は「家族はつらいよ2」、「銀魂」、「3月のライオン」といった邦画、音楽は中島美嘉のアルバム、「ミニオンズ」や「ラ・ラ・ランド」といった日本語対応の洋画も用意されている。イヤホンはシートにセットされていないが、出発時に配布される。自身が持つイヤホンも利用できる。

定刻に出発したものの、空港混雑の影響で離陸までに約30分要した。飛行時間は約4時間30分で、すでに織り込まれたスケジュール設定となっている。機内安全ビデオが流れた後、離陸時はよくわからないC-POPが流れていた。巡航高度は36,000フィートで、離陸後比較的早くシートベルト着用サインが消灯。横浜の北、知多半島、高知の南、宮崎の北、鹿児島と日本列島を通過し、東シナ海上空に出た後、台北の西を通過するルートで香港へ向かう。

離陸の約1時間後から機内食の配布が前後から始まった。メインはチキンとフィッシュの2種類でチキンはピンク、フィッシュはブルーのアルミホイルに包まれている。見る限りチキンのほうが人気があるようだ。中身は和風ハンバーグ、卵焼き、ポテトだった。さらにパン、フルーツ、ヨーグルト、カップの水がセットになっている。パンは温かい状態で提供されるので美味しい。周りの人は一つしかもらっていないのに、なぜか私には2つくれたのでありがたく完食する。チキンは早々なくなっており、最後の方は選択できなくなっていた。決して手の込んだものとはいえないが期待通りの美味しさで、朝食としてはちょうどいい量だった。ほぼ満席だったが手際は良く配布され、食べ終わった早い段階でトレーを回収し、機内は消灯される。

シートポケットには、機内販売カタログ、宅配の販売カタログ、機内誌、安全のしおりが入っている。いずれも日本語の表記はない。

機内のほとんどが香港人で、有料座席以外はほぼ満席。エコノミークラスを見渡す限り、グループ旅行者が多く、ビジネスマンと思しき人は見受けられない。機内食の時間を除けば終始寝ている人が多かった。日本人客室乗務員も乗務していたものの1人だけのようで、少々大変そうな感じもする。アナウンスは日本語もあるので大概の状況は理解できるが、乗客の側にもある程度のコミュニケーション能力は必要になるかもしれない。

機内販売商品には、香港や中国で使える中国移動香港のSIMカード2種類やうつ伏せ寝ができるエアーピロー、モデルプレーン、客室乗務員の制服を着た熊のぬいぐるみなども販売しており、実用性が高い商品やマニア心をくすぐる商品があって必読だ。

機体は徐々に高度を下げ、定刻より20分以上早い、現地時間午後1時過ぎに香港に到着した。到着ターミナルははミッドフィールドコンコースで、本館まではシャトルで移動する必要があった。ほとんどの乗客が香港を目的地とする人だったが、バンコクへ乗り継ぐ人もいた。

結論としては、機内食が美味い不味い、マイルが貯まるか貯まらないはどうであれ、安ければ第1候補として選択する価値は大いにあるということだ。必要十分なサービスを受けることができたので、特に不満は残らない。スムーズに入国すればちょっと遅めのランチに充分間に合う。香港発東京/成田行きは午後3時台発や午前2時発があり、休日をうまく利用するにはちょうどいいスケジュールでもあるので、賢く選べば利点も大きい。次回からは香港渡航の際のチョイスの一つに加えたいと思った。