「路線拡大へ最大の課題は乗員確保」 ジェットスター・ジャパン片岡優会長【囲み取材一問一答】

―5年前、成田を拠点とする初めてのLCCとしてスタートしたが、この5年間で成田空港第3ターミナルができたり、想定以上で進化したのか。または成田空港のことを含めて5年間で出てきた課題は。
まず進化したことについて。当初、搭乗率も70%半ばぐらいだったが、現在は80%半ばぐらいまで伸びている。ただ単純に伸びたわけでなく、その間に便数も増えている。5年前当初、3機の飛行機でスタートして、東京/成田~札幌/千歳・福岡線の2路線から始まったが、現在は国内線だけで16路線、国際線も含めると25路線飛んでいる。ネットワーク、便数という部分では格段に増えている。その増えた中で搭乗率も増えたということは、ご利用いただけるお客様のご支持をたくさんいただいた。そういう点では進化した。お客様のご理解をいただきだしたというのが一番大きい。これからの課題という部分では、私ども1社だけでは解決できない問題が多い。例えばここ成田の第3ターミナル、使用しだして1年ちょっと経つが、混雑時にはかなり手狭になる。私共の運航も厳しくなるし、お客様にも混雑ということでご迷惑をかけていると思う。こればかりは私どもだけで解決できる問題ではなく、空港会社も含めて解決策を考えなければならない。成田だけではなく、他の就航地の空港もかなり混雑空港が多くなっている。そういう部分では、自由に増便できなかったり、または自由な時間に飛ばせなかったりという問題も抱えている。

―この5年間を見るとANAやJALなど大手航空会社の搭乗率はそれほど落ちておらず、新しい顧客を獲得してきたと思う。この5年間どういった客が多く乗っているか。バスや新幹線から客が移ってきたのか。そのあたりの解説を。
5年前、LCCが就航する際には、日本国内にはLCCが根付かないのではないかという懸念もいただいていた。その中で大手との繰り合わせ、他社との繰り合わせがあって潰し合いになるのではないかという懸念があった。今のところ、私どもの就航するすべての路線で全体の数が増えているという、いい結果につながっている。これは我々が最初に描いていた成長戦略、win-winの関係になるという部分では、LCCも伸び、他社も伸び、空港自体、就航地の地域が繁栄するというモデルが結果としてそのまま出ている。

―遅延するというイメージがまだあり、大手を選ぶ客もいる。そのあたりについて。
定時運航率はグループ全体で厳しく見ており、今年に関しても去年よりも約2ポイント上昇している。まだまだ世界トップレベルというところまではもう少し頑張らなければならないが、会社全体で定時運航率をいかに良くするかというプロジェクトを組んでやっている。徐々にではあるが改善している。日本のお客様、特に日本の公共交通期間の定時運航性は非常に厳しく問われるということを承知している。そういった部分では社内でかなり順位付けを高くして定時運航に取り組んでいる。

―定時運航率は何%か。
会計年度は7月始まりの6月締めだが、81%台。去年は79%台。

―率直な感想を。
5年を迎えることができ、まずはご利用いただいた2,000万人近いお客様、そして今まで私どもの就航・運航にご尽力いただいた関係各所の皆様に心よりお礼を申し上げたい。

―2019年までに入ってくる機材の機種などは。
次の22号機は現行のエアバスA320ceo。それ以降は決まっていないが、エアバスA320型機は踏襲する予定。ceoになるのか、neoになるのかは検討中。

―機材を増やして路線も増やすとすると、乗務員不足の問題については。
私どもとしてもそれが一番大きな課題。乗員の確保、パイロット、整備士そして客室乗務員が、飛行機の増備にあわせて確保できることが条件。色々な取り組みをやっている。副操縦士の社内での昇格プログラムなどを実施するなど、社内でパイロットを養成するシステムづくりから始めている。これはジェットスター・ジャパンだけでなく、日本の航空会社、世界の航空会社も同じようなパイロット不足という問題を抱えている。航空会社全体で取り組んでいかないといけない問題。

―この5年間、予想と比べてどうだったか。
前半色々躓いた部分もあって、予想していた収益を得られなかった部分はある。昨年、4年目にして初めて黒字化を達成した。それ以降は順調に推移している。

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