ATR、ターボプロップ機のリージョナル路線での優位性強調 都内で会見

ATRは4月14日、パトリック・ド・カステルバジャック最高経営責任者(CEO)が来日して記者会見を実施し、翌15日にはマスコミ向けの体験搭乗を実施した。2010年から2015年までの50人から90人乗り機材の受注シェアをみると、リージョナルジェット市場では37%、プロップ・ジェット市場では77%といずれもATRがトップとなっている。

最新のプロペラ機はジェット機と同様のエンジン技術を活用してプロペラを回転させていることから、ジェット機より効率良く空気の流れを生み出し、エネルギーを抑制し推進力を高めることができるという。そのため、日本国内にある1,500メートル以下の滑走路を持つ30空港を効率よく活用できるとしており、ジェット機と比べて騒音も35%小さいため市街地の空港であっても乗り入れが容易だという。

これらの理由から、ATRでは地方間路線での活用がベストとしている。例えば名古屋〜新潟間では車だと6時間以上の運転が必要で44リットルのガソリンを使うのに対し、ATR機では約1時間で乗客あたり使用する航空燃料は11リットルと、一概に比較することは難しいものの、飛行機のほうが多くの燃料を使うというわけではないという。ATRの試算によると、2025年までに、新路線用に20機、リージョナルジェット・ファン機の代替需要として30機、経年プロップ・ジェット機の代替需要として50機の計100機の需要を予測している。

体験搭乗は、天草エアラインの熊本発大阪/伊丹行きに搭乗。天草エアラインでは、2月20日より日本初となるATR機を導入し、天草〜福岡・熊本線と熊本〜大阪/伊丹線の1日計10便を運航している。客室内での静寂性についても驚きの声が上がった。ジェット機特有のキーンとした音がなく、離着陸時には滑走路を走るタイヤの音がリアルに聞こえたくらいだ。飛行中にサービスを行う客室乗務員の声も聞き取りやすいのも印象的だった。