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スカイマーク、国際線チャーター便や国内線の拡充も検討 ANAとのコードシェアは見通し立たず
スカイマークは、3月28日、国土交通省で記者会見を行い、民事再生手続きの終結と2016年度から2018年度の中期経営計画を発表した。
スカイマークは、エアバスA330型機の導入やエアバスA380型機の発注キャンセルなどの問題により、資金繰りが悪化。2015年1月28日に東京地裁に民事再生手続きを申し立てた。同2月4日付で再生手続を開始し、同8月5日に再生計画の認可決定、同9月29日に100%減資と投資ファンドのインテグラルやANAホールディングスなどによる総額180億円の募集株式の払込を完了し、同額を再生債権に対する弁済原資として、弁済をおこなっていた。一部の債権者を除いて弁済を実施を完了しており、監督命令の取消と民事再生手続きの終結を東京地裁が決定した。約1年余りで民事再生手続きが完了したことになる。
2015年度は営業利益黒字化、原油価格急落が一因
2015年度は売上高700億円超、営業利益15億円超となる見込みで、原油価格が急落したことや、円安が一段落したことが黒字化の大きな要因となった。中期経営計画ではドバイ原油の価格を1バレルあたり50米ドルと見込んでおり、現在は30米ドル程度で推移しているものの、「原油価格は必ず上がる」(佐山展生会長)との見通しを示し、「リスクに耐えられる計画を作る必要がある」(同)とした。一方で、2016年2月の搭乗率が、直近3年間で最も高い80%超に上昇したという明るい話題もあるほか、アンケート調査では、福岡県民で羽田〜福岡線に就航しているのを認知しているのは69%、北海道民で羽田〜新千歳線に就航しているのを認知しているのは61%と低いことから、地方ではさらに低いとみており、マーケティングやPRを強化し知名度を上げることで利用者の増加が見込めるとした。佐山会長は、「離れてしまった利用者、初めて利用する方に現状を知ってもらいたい」と、大手航空会社と比較して割安であることや、サービス強化をアピールしたい考え。「他社ではできないものを来月から打ち出す」(同)と自信を示す。
2018年度にも国際線チャーター便、機材稼働効率化でコスト吸収
中期経営計画では、2016年度は現状の路線を維持し、定時性や就航率向上に向けた体制強化や、サービス教育、顧客満足度の向上にも取り組む。2017年度は茨城や神戸といった拠点空港を発着する路線のほか、撤退した仙台、石垣、宮古、米子、熊本についても需要調査を行った上で採算性があれば就航を検討するなど、国内線を拡充する。国際線チャーター便は、2017年度中に就航地などを検討し、2018年度にも運航を行う計画。機材はボーイング737−800型機に統一しているため、東アジアや東南アジアの一部、グアム、サイパンなどが検討対象。羽田を発着するか、それ以外の空港を発着するかは検討する。
現在は対空証明を取得するために一部の機材が飛べない状態となっているものの、全日本空輸(ANA)からの出向を受け入れることで整備体制を強化し、全機が効率よく稼働することでコストの増加分を吸収したい考え。全機が稼働すれば供給席数が2割程度増えるため、売上の増加に貢献すると見込んでいる。現在のユニットコストは8.5円から8.6円で、目標は8円とする。新興航空会社では、ソラシドエアは2015年度から2016年度の中期経営計画で、目標とするユニットコストを7.99円としている。
ANAとのコードシェア、エイブル入れずに接続を
ANAとの共同運航(コードシェア)は、当初、羽田〜新千歳・福岡などの高需要路線を除いた路線で検討していたものの、スカイマークが独立性に問題があるとして、ANAの総合旅客システム「エイブル」の導入を拒否。エイブルとスカイマークのシステムにインターフェースを噛ませることで、システムの接続は可能としており、スカイマークはANAに提案している。「コードシェアをせずとも好調」(同)としながらも、「お互いにメリットがあるので、インターフェースを噛ませるならいつでも歓迎」(同)との姿勢を示した。しかしながら、両社間で話は進んでおらず、10月からの冬スケジュールからの開始は難しいとみている。
佐山会長が日本テレビ系列の番組「ウェークアップ!ぷらす」に出演して明らかにした、スズメバチをモチーフとした新ブランド「SKY Bee(スカイ・ビー)」については、「私自身は名前を変えたがっていたわけではない。インテグラルにも電話がかかってきて、蜂はやめてくれと言われた」(同)と明かした。
上場は、ANAホールディングスなどとの株主間契約で5年以内を目標に掲げている。「5年以内には3年も4年も含む。それに向けて頑張る」と話した佐山会長。「私の中の95%はスカイマーク。ほとんど羽田(のスカイマーク本社)に出社している。この先こういうことはない」と、コミットを強調した。エアアジア・ジャパンの就航やバニラエアの関西拠点化など、格安航空会社(LCC)の急成長が進む中、スカイマークの再生は、ここからが正念場を迎える。
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