福岡県八女市に複合型ゲストハウス「川のじ」が4月21日にグランドオープン 白壁の町並み保存地区・八女福島の町家を改装

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福岡県八女市福島に残る白壁の風景。この地域は、街並みごと重要伝統的建造物群保存地区となっています。その中にたたずむ、元提灯屋の空き古民家を復元し、地域の核となる複合型ゲストハウス「川のじ」が、2014年4月21日にグランドオープンします。

運営母体は、特定非営利活動法人八女文化振興機構で、代表は高橋康太郎氏。実際の運営は、同NPO会員でゲストハウス事業の運営責任者となる宿主の柴尾悠さん。

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オープン直前でお忙しい中を、宿主の柴尾悠さんにお話を伺いしました。

ーこの度はゲストハウスのオープンおめでとうございます。以前に東京でお会いして、地元八女でゲストハウスをオープンさせたいと熱いお話をお聞きしたのはどのくらい前でしたでしょう?
柴尾さん(以下、敬称略)「あれは、2013年7月5日か6日ですね。ワーキングホリデーでオーストラリアから羽田に帰国したのが7月1日、そのまま東京に1週間ほど滞在していた頃でした。その後、旅をしながら福岡に帰る途中、教えていただいた“ゲストハウスとりいくぐる”のOPENを知り、立ち寄らせてもらったりしたおかげで色々なご縁もいただきました。」

ーゲストハウスを地元八女で始めたいという気持ちは、オーストラリアでのワーキングホリデー中に芽生えたのですか?
柴尾「元々ゲストハウスを地元にオープンするつもりでワーキングホリデーに行きました。オーストラリアでは、当時あまり得意ではなかった英語を勉強しつつ、世界中から英語を勉強しにくる学生が宿泊している学生寮(シェアハウス)の管理人としてアルバイトをしていました。多国籍で様々なバックボーンを持つ人々が共同生活をする、その中で今となってはかけがえのない貴重なノウハウを管理人目線で学びました。」

ーゲストハウスの目指す方向性を教えて下さい。
柴尾「ゲストハウス川のじは、旅人と地元の人が交流できる町場の宿を目指しています。八女福島は戦前からの町家が200棟以上残る伝建地区です。歴史を感じる白壁の町並みは、歩くだけでも心地よいですが、町の人との交流で見え方がまた変わってきます。」

ー「町の人との交流で見え方がまた変わってくる」という点を、具体的に教えていただけますか?
柴尾「昔ながらの生活の匂いが色濃く残っていて、今では希少となった代々受け継いできた手仕事や伝統工芸が間近で見られたり、体験できる地域です。その垣根がとても低くて、肌で感じられる日常が存在しています。」

ー素敵な環境ですね。ゲストハウスが八女福島にオープンすることで、今までとはまた違ったお客様の層が国内外から来られると思いますが、そのチャンスを複合型ゲストハウスとしてどう生かしていきますか?
柴尾「そんな懐の深い八女の魅力に、つい住んでしまいたくなる方もいるはず。ゲストハウス川のじ受付事務所は、八女のまちづくり団体「八女町家ねっと」とのシェアオフィスとなっています。移住等の相談も可能で、単なる旅行から→街とのふれ合い滞在→移住といった流れを、希望があればそれぞれサポートできる場所です。地方にも色々と特色のある魅力的な地域が出てきたなかで、八女に住むというキッカケや選択肢を提供できる宿でありたいと考えています。」

ー以前、東京でお会いした時には、八女の知名度や本当に海外からお客様が来てくれるのか?を心配されていましたが、八女周辺地域のポテンシャルをどうお考えですか?
柴尾「周囲に目を向けると、市内の農村部には広大な八女茶園、泳げる川、ハイキングや軽いトレール、そして登山など豊かな自然が存分に楽しめます。歴史的には大変古くて、縄文・弥生時代からの定住を示す古墳群は300基と言われ、邪馬台国八女説もあるんです。」

ー邪馬台国ですか!?それは凄い。他にも八女の魅力をもう少し聞きたくなりました。
柴尾「気軽に立ち寄れる温泉もありますし、矢部川ジ・ビールという地ビールもあります。四季を通じて美味しいものは伝えきれないほどあります。」

ーでは最後になりますが、宿名の「川のじ」についての想いをお聞かせ下さい。
柴尾「もう、そのままです。1人1泊3,000円からの男女別相部屋で、布団を並べて川の字になって寝る形式だからです。もちろん部屋を貸切にもできますので、ご家族や友達同士で川の字になって寝てほしいです。行政・民間・大学・社会人・学生、時には背景の違う人々が川の字になって八女について語り合いながら寝てほしい。そんな想いをこめて付けました。」

大分との県境を水源とする矢部川が流れ、日本一の干潟を有する有明海に注ぐ。福岡県八女市は、古来より交通の要所であり、長崎や熊本へのアクセスも良好で福岡からもわずか50キロに位置する。

これだけガッチリと地域の行政や大学、そして様々な地元の活動や伝統的な生活を営む住民とが綿密に呼吸を合わせたゲストハウスの誕生は、日本中を見回しても珍しい。ひしひしと、チーム八女で地域を興し、街と地域文化を守る担い手を育てていこうという気迫さえ伝わってくる。

八女と言えば、「八女気質」。八女の気質を表すならば、“主流に対する潔い反骨の地”だそうだ。その潔い反骨の精神で、ゲストハウス「川のじ」が重要な役割を果たし、八女福島独自の文化を継承しつつ発展していくのを注目していきたい。

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