「エアアジア・ジャパン」が消滅 ANA「新LCCでは日本人に合わせたきめ細かなサービス」を目指す

AirAsiaJapan

速報記事にてお伝えした通り、ANAホールディングスは2013年6月25日(火)より、ANA本社にて記者発表を行い、マレーシアを本拠地とするLCC「エアアジア」との共同事業である「エアアジア・ジャパン」の事業について、提携を解消することを発表した。

「エアアジア・ジャパン」事業の提携解消に伴い、エアアジア・ジャパン社はANAの100%子会社となることが同日開かれたANAの臨時取締役会にて承認され、エアアジアと合意に至っている。

ANAでは、10月末までは現行の「エアアジア」ブランドを用いますが、その後の運航する路線、機材数、ブランドなどの詳細については7月中に改めて発表するとし、会見中の明言を避けましたが、会見中の関係者の発言内容や、Peachが先日行った会見にて「成田を拠点にすることは考えていない」と発言していることから、ANAは新しいブランドにて、成田を拠点とするLCCを新たに立ち上げることが予想される。

なお、既にエアアジア・ジャパンの便を予約済みの顧客については「ANAグループとして責任を持って運航するため安心して欲しい」と語りました。

会見では、現在エアアジア・ジャパンが保有する機材は、夏の繁忙期以降に順次エアアジア側に返却する必要があることが説明されており、先の発言と合わせて考えると、機材返却の影響によって、エアアジア・ジャパンの便を予約済みの顧客が、ANAグループの運航する便への振替が行われる可能性も考えられます。

会見中に興味深かったのは、質疑応答の中で「首都圏の後背地県の需要を汲み取っていけるLCCを立ち上げていきたい」というコメントで、7月中に発表すると思われる新ブランドのLCCにて、従来のLCCとは異なる路線展開にも期待ができそうとなる。

エアアジア・ジャパンとの合弁事業が失敗した理由として、成田における国内線需要の小ささ、日本において知名度が上がらずに収益が低迷、日本のマーケットに対してエアアジアグループのやり方で持ち込んでも成功しないなどを理由と考えており、エアアジア・ジャパンをANAグループで100%子会社化した上で、新しいLCCを立ち上げた方が良いと判断したと説明している。

今後のエアアジアとの関係については、10月末にエアアジアブランドの使用を中止するため、11月以降、エアアジアと競合する可能性もあるとしており、ANAが新規に設立すると思われるLCCと、新生エアアジアの運賃競争も期待できる。

ANAは、今後設立するLCCの展開として「日本人に合わせた、きめ細かいサービスを行う必要がある」という趣旨の発言を会見中に何度か行い、また会見の冒頭では「LCC事業をより主体的に運営していくこと」を目的として合弁を解消するに至ったとしており、ANAの求める「きめ細かなサービス」が、現行のエアアジア・ジャパンの中では実現できず、ANAとしてはLCC事業のてこ入れを考えていたことが覗えます。

(取材・島田純)