スコットレール、日立レールヨーロッパ製新車両の試乗会開催 席数増加や所要時間短縮も

日立製作所傘下の日立レールヨーロッパが製作した、スコットレール(ScotRail)向けの近郊電車「クラス385」が7月24日に営業運転を開始するのに先立ち、前日の23日午後、関係者向け試乗会が行われた。

日立は2015年3月、同車両を70編成(234両)をスコットレールの運営権を持つオランダ鉄道(NS)傘下のアベリオから受注。山口県下松市にある日立の笠戸事業所で最初の7編成を製作する一方、イングランド北部ダラム近郊のニュートン・エイクリフ工場で残りの63編成を組み上げている。なお、スコットレール向け車両の最高時速は160キロメートル。

「クラス385」は、日立が「AT-200」と呼んでいるセミ・オーダーメイドタイプの標準型車両。大量生産による部品の共通化や生産効率の向上を目的として、メーカー側が基本的な仕様をあらかじめ策定。一方、鉄道事業者側は出力や電源、最高速度、車内のインテリア、外装などを決めて完成させるという手順を踏む。なお、「AT-200」の受注はスコットレール向けが初となっている。

同車両の導入をめぐっては、当初2017年中を予定していた。しかし、先頭車両の前面ガラスの曲面加工により、スコットレールの運転手らが「2、3個あるはずの信号がひとつに重なって見える」と訴え、若干の設計変更が行われた。これらの背景などもあり、営業運転までに期間を要したという経緯がある。

日立レールヨーロッパのカレン・ボズウェル社長は「従来のディーゼル車両と比べて、1編成の席数が最大130席増加、所要時間も20%余り短縮される。日本の素晴らしい技術のおかげで、時速100キロメートルまでの加速が、スコットランドを走るいかなる鉄道車両より速い」と新型車両の長所を積極的にアピールしている。

また、日立レールヨーロッパとボンバルディアは、Deep Tube Programme(新ロンドン地下鉄)についてロンドン地下鉄が両社のコンソーシアムを受注先に選定しなかったことについて高等法院に訴えを起こした。詳細についてのコメントは差し控えるという。