どうしても座席の下にスーツケースを収納したい!【レポート】

“機内持ち込み可能”を謳うスーツケースは世の中にたくさんあるものの、よく考えれば大半が頭上の収納棚に入れることを前提にしたサイズで、「座席下に収納する」ことを謳ったスーツケースは意外なことに見かけない。

そんな中、ロンドンのPrimark(プライマーク)で見つけたのが、まさに「座席下に収納する」ことをコンセプトに設計された、斬新なスーツケース。2025年にちょっとした話題になり、筆者も探していたものの、なかなか発見できなかったのだが、夏の旅行シーズンに合わせて再登場していた。

ファストファッションの大型店として知られるプライマークだが、実は洋服だけでなく旅行用品コーナー「TRAVEL SHOP」はかなり充実している。スーツケースやボストンバッグ、トラベルポーチなどを幅広く展開しており、スーツケースのサイズも通常の機内持ち込みから、預け入れギリギリ(超えている?)のサイズまで、選択肢も豊富。1万円程度で大半の商品が購入でき、洋服同様に庶民の味方といった価格。

今回はそこで購入した、「座席下に収納する」スーツケースを紹介しよう。

その名も”アンダーシートラゲッジ”

商品名は、「ABS UNDERSEAT LUGGAGE(アンダーシートラゲッジ)」。ABSとは樹脂素材のことで、いわゆるハードタイプのスーツケースだ。価格は25ポンド(約5,450円)。物価高のロンドンでこの価格感で購入できるスーツケースとしては、丈夫でコストパフォーマンスは抜群といえる。

横方向に細かいリブ加工が施されており、汚れや傷が目立ちにくい。カラーバリエーションはブラック(2種類)、イエロー、ピンク、ブルーの5種類もある。TSAロック機能はないものの、ジッパーには南京錠の取り付けができる穴はある。

中でもこのスーツケース最大の特徴は、座席下に収納できるコンパクトなサイズ感。内部は仕切りがあるほか、なんと4輪の車輪が取り外し可能というところもユニークだ。車輪を入れる専用の袋までついている。

通常の状態では48.5センチ×25センチ×20センチであるものの、車輪を外すと40センチ×25センチ×20センチとコンパクトになる。

各社の「身の回り品」サイズ規定と照らし合わせてみる

近年、LCCを中心に機内持ち込み手荷物のうち追加料金なしで持ち込める「身の回り品」のサイズを厳格化する航空会社が増えている。

ANAグループも7月1日から、身の回り品のサイズを「40センチ×30センチ×20センチ以内」と規定した。欧州の主要航空会社でも同様の規定があり、ライアンエアーは「40センチ×30センチ×20センチ以内」、イージージェットは「45センチ×36センチ×20センチ以内」とライアンエアーよりは緩い。

今回購入したアンダーシートラゲッジの車輪を外した状態のサイズを照らし合わせると、幅・奥行きともにいずれの基準もクリアしている。ヨーロッパ旅行でLCCを使う機会が多い人にとっては、こうした厳しいサイズ規定にも対応しやすい設計だと言えるかもしれない。

ガトウィック空港のイージージェット計測器で実際に検証

ロンドン・ガトウィック空港のイージージェットのチェックインエリアに、身の回り品用のサイズ計測器が設置されていたので、実際に入れてみると、車輪を付けたままでは引っかかるものの、外すとぴったりとフィット。これなら誰にも文句を言われず、機内へ持ち込むことができそうだ。

でも、外した車輪をどこに収納するのか、スーツケースに入れるとそれなりに場所を取ってしまう。それが問題でもある。

これは「旅客と航空会社の仁義なき戦い」の産物?

日本のLCCでは、機内持ち込み手荷物サイズであれば、個数や重量の制限の中で自由に持ち込みが可能。一方でヨーロッパでは、座席下に収まるサイズのみ無料とされるのが一般的で、こういった商品が生まれる土壌が存在する。

例えばうっかり、ライアンエアーに搭乗する際にサイズオーバーの荷物を持ち込み、10キロの荷物を預け入れることになった場合、空港カウンターでは最大40ポンド(約8,700円)、搭乗口では同60ポンド(約13,060円)の預け入れ料金を支払う必要がある。場合によっては運賃よりも高額で、その心配をわずか25ポンドで解消できるなら安いもの。ちなみに重量には制限がない。

実際に購入して感じたのは、このスーツケースが体現しているのは「旅客と航空会社の仁義なき戦い」の縮図だということ。冷静に考えれば、車輪が必要になるほどの量を「身の回り品」として詰め込む場面はそう多くなく、リュックサックのようなソフトタイプのバッグの方が容量効率は良いはずだ。一方、ソフトタイプではうっかり詰め込み過ぎてサイズをオーバーしてしまうこともあるだろうから、ハードタイプであるが故に懸念を解消できるとはいえる。

それでもハードタイプの車輪付きスーツケースがしっかりと棚を確保して並んでいるということは、航空会社が身の回り品のサイズ規定を年々厳格化する中で、「規定ギリギリのサイズで、なおかつ車輪でラクに運びたい」という旅行者のニーズが一定数存在し、実は隠れたヒット商品になっているということだろう。手荷物ルールの攻防が生んだ、なんとも今どきな珍商品と言えそうだ。

プライマークは、洋服のついでに立ち寄れる旅行用品売り場として意外と侮れない存在。今回紹介したアンダーシートラゲッジは、機内持ち込み時の追加料金を避けたい旅行者や、ちょっとした国内旅行・出張用のサブバッグを探している人にぴったりの珍商品。ぜひプライマークへ立ち寄る機会があれば、トラベルショップコーナーもチェックしてみてはいかがだろうか。