JAL、モバイルバッテリーの持ち込みルール周知強化 違反預け入れ、今年度1,300件超

国内外で航空機内でのモバイルバッテリーの発煙・発火事例が相次いでいることを受けて、日本航空(JAL)は年末年始の繁忙期を前に、モバイルバッテリーの取り扱いに関する周知を強化している。

国土交通省は国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準に基づき、預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れることを禁じている。また、機内持込みについても、定格量が100ワットアワーを超え160ワットアワー以下のものは2個まで、160ワットアワーを超える製品は持ち込み不可と規定。7月8日からは措置を強化し、機内に持ち込んだモバイルバッテリーは収納棚に入れず手元で保管し、充電時は常に状態が確認できる場所で使用するよう求めている。

JALはホームページや空港の自動チェックイン機、搭乗ゲートなどで、モバイルバッテリーを含む危険物の取り扱いに関する周知を強化し、機内アナウンスでも注意を喚起。機内では火災・煙対策装備品として、従来の防煙フードと消火器に加え、モバイルバッテリーの発熱・発火時に使用する耐熱手袋と耐熱袋を2017年から全機材に搭載している。

同社によると、これまで機内での発火事例はないものの、羽田空港の国内線では今年4月から10月までの7か月間に、預け入れ荷物からモバイルバッテリーが見つかったケースが1,306件発生。1日で10件以上発生することもあるといい、荷物の再検査によって遅延に繋がった例もあるという。

▲異常発熱したモバイルバッテリーを客室乗務員が回収し、耐熱袋に収納するデモ

羽田空港にある訓練施設では12月2日、機内でモバイルバッテリーが発熱・発火した場合の対処手順を客室乗務員がデモンストレーションした。収納棚に入れられたモバイルバッテリーが発火した状況を想定したデモでは、防煙フードを着用した客室乗務員が消火器で消火し、水をかけて冷却。その後、ゴミ箱に水没させる一連の対応を再現した。

JALの担当者は「機内でモバイルバッテリーに異常な発熱や変形が見られたり、落下などで衝撃が加わったりした場合は、すぐに乗務員に知らせてほしい」と呼びかけている。

▲モバイルバッテリーが収納棚で発火した状況のデモ

▲客室乗務員が乗客を誘導

▲手の甲で発火箇所を特定

▲収納棚を少し開けて消火

▲消火したモバイルバッテリーに水をかけて冷却

▲冷却されたことを確認し、ゴミ箱に移動

▲水を入れて水没