郵船クルーズ新客船「飛鳥III」、横浜港で命名式 “姉”が祝福、記念の花火も

飛鳥III

郵船クルーズは7月11日、34年ぶりとなる新造客船「飛鳥Ⅲ」の命名式を横浜港大さん橋で開いた。同日朝には、「飛鳥Ⅲ」の“姉”にあたる「飛鳥II」が103日間に及んだ最後の世界一周クルーズから帰港し、“妹”の記念すべき日に花を添えた。

郵船クルーズとしては1991年10月28日竣工の「飛鳥(初代)」以来、約34年ぶりの新造船。総トン数52,200トン、全長230メートル、全幅29.8メートル、デッキ数13デッキ、喫水6.7メートル。客室数は385室、乗客定員744名、乗員約470名。船籍港は横浜。総トン数は「飛鳥Ⅱ」(総トン数50,444トン)を上回り、日本船籍で最大。日本船籍の新造クルーズ船としては、日本クルーズ客船が2022年まで運航していた1998年竣工の「ぱしふぃっくびいなす」以来、約27年ぶりとなる。

飛鳥III

建造はドイツの造船会社・マイヤーヴェルフトが担当した。現地時間4月10日に同国北部・エムデンで郵船クルーズに引き渡された後、喜望峰経由で回航され、6月2日に横浜港大さん橋に到着した。小久江尚船長によると、回航中は「一度も時化ることなく、揺れることなく、快晴の中ゆったりと帰ってきた」という。

7月20日発の北海道方面へのツアーで初就航を迎える。飛鳥クルーズブランドは「飛鳥Ⅱ」と合わせて2隻体制となる。同社によると、「飛鳥Ⅲ」は3泊以上のロングクルーズを中心に運航。一方の「飛鳥Ⅱ」は1泊のショートクルーズからロングクルーズまで幅広く展開する方針だという。

▲「飛鳥III」の船内で開かれた命名式

船内のシアターで開かれた命名式で同社の西島裕司社長は、「二隻がともに高め合い、より多くの最高の船旅を提供することで、日本のクルーズ文化の未来をひらく」と力を込めた。

郵船クルーズ 西島裕司社長

▲式典で挨拶する郵船クルーズの西島裕司社長

また、来賓として出席した中野洋昌国土交通大臣は、政府が日本人のクルーズ乗客数を2030年に100万人とする目標を掲げていることを踏まえ、「初代『飛鳥』、『飛鳥II』と紡いできた経験をもとに、我が国のクルーズ産業の成長を牽引してほしい」と期待を寄せた。

式典後に行われた横浜港の花火のイベント「横浜ナイトフラワーズ」では、飛鳥クルーズのブランドカラーである「深縹(こきはなだ)」と「青金(あおきん)」の花火が打ち上がり、「飛鳥III」の命名を祝った。

▲横浜港大さん橋で並んだ「飛鳥II」(左)と「飛鳥III」

飛鳥III

▲横浜港大さん橋に停泊する「飛鳥III」

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▲「飛鳥III」の“姉”にあたる「飛鳥II」

▲関係者向けのレセプションで挨拶する「飛鳥III」の小久江尚船長(中央)ら

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