品川駅工事、山手線はなぜ半日も運休? 理由は「線路の順番」

11月16日、山手線や京浜東北線の大幅な運休が発生した。これは、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」の設置に伴って行われた、両路線の線路切り換え工事の影響だ。山手線の運休を伴う大規模な工事はJR東日本が発足してから初めてのことだが、具体的にはどのような工事が行われたのだろうか。また、なぜ半日以上もの長時間にわたって列車が運休したのだろうか。

線路を約100メートル移動

2020年春、品川〜田町間に山手線にとって約50年ぶりの新駅となる高輪ゲートウェイ駅が開業する。この駅には山手線のほかに京浜東北線のホームも設けられるため、両路線の線路が新駅を経由するよう、約100メートル東側に移動させる必要が出てきた。これが、今回の大規模工事の理由である。

実は、通常の線路切り換え工事であれば、一日に一線ずつ移設させることで日中の電車運行への影響を避けることもできる。それなのに、なぜ今回は大幅な運休が発生することになったのだろうか。それは、山手線と京浜東北線の乗り換え事情が関係している。

▲線路切り換え工事の概要

三線同時移動が条件

山手線と京浜東北線は品川〜田端間で並走している。品川駅では山手線が1番線と2番線、京浜東北線が3番線と5番線(11月17日以降は3番線と4番線)を使用しており、両路線はそれぞれ別のホームを発着する。そのため、品川駅で京浜東北線に乗り換える場合は、階段を昇降して別のホームに移動しなければならない。そこで、両路線を品川〜田町間で立体交差させ、田町駅以北では同一ホームで乗り換えができるようにしている。ちなみに、立体交差の影響が出ない京浜東北線大船方面行きの線路については、6月に切り換えが完了している。

つまり、品川駅と田町駅では線路の順番が異なる。一線ずつ移設するとどこかで平面交差ができてしまい、運行に大きな支障が生まれる。そのため、今回は一日のうちに三線を同時に切り換えなければならなかったのだ。

▲切り換え工事前の田町駅南側(品川方)の配線(11月15日撮影)

▲工事が進む同地点。レールの切り替えは概ね完了していると見られる(11月16日午後1時22分撮影)

▲立体交差地点。京浜東北線北行が山手線を跨ぐ。移設に伴い跨線橋は新設された

今回の大幅運休で不便な思いをした人も少なくないだろう。しかし、この工事は高輪ゲートウェイ駅開業という、周辺地域のさらなる発展につながるものである。JR東日本の工事担当者は、「混乱を避けるため、ラグビーワールドカップ終了後のこの時期の工事になった。ご理解いただければ」と話していた。

▲品川駅北側(田町方)の工事の様子。全体で約2,000人の作業員が投入された(11月16日午前4時45分撮影)

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