鳥海氏、「来春にも海外旅行復活」と指摘 待機短縮の必要性も【TRAICY Webinar】

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航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、8月30日に旅行業界関係者向けに行った「TRAICY Webinar」でオンライン講演し、自主待機期間が短縮することによって将来的に海外旅行が復活することを示唆した上で、ワクチンの接種や証明が重要になるという見解を示した。

鳥海氏は、2021年に入ってからすでに2回、取材でハワイやアメリカ本土に渡航している。渡航や現地での滞在、帰国後に自主待機(隔離)した経験を踏まえた上で、海外旅行のハードルについてを中心に講演した。

14日間の自主待機が最大のハードル

ハワイ・ワイキキ

講演のなかで、海外旅行における現在の最大の課題は、帰国後の14日間自主待機であるとして、この自主待機期間が、短縮もしくは無くなることが、海外旅行復活につながること、多くの人が旅行に”飢えている”現状を踏まえ、旅行需要はいずれ元通りに戻ると指摘した。

現状では新型コロナウイルスの陰性証明書の取得には1回あたり概ね3万円程度必要であり、かつ日本に帰国する際に出発前72時間前までの検査が必要であることなど、海外旅行のハードルは引き続き高く、昨今、変異株(デルタ株)が世界的に拡大しており、ワクチンがまだ希望者に行き届いていない状況を踏まえると、本格的な海外往来の再開は当初の見通しより遅れると分析した。

企業に出社する人にとって、待機期間は3日間が限界ではないかとも発言。海外旅行に限らず、海外でビジネスを行う日本企業など経済界から、海外出張者の自主待機期間の短縮を求める声が大きいことにも触れ、ワクチンを2回接種し帰国時の空港での検査で陰性であることを条件に3日間程度の待機とすることを提案し、今後の議論に期待したいとした。

ハワイを皮切りに欧米諸国から旅行解禁か

日本からの渡航の場合、すでにハワイを含むアメリカやヨーロッパの多くの国では、新型コロナウイルスの陰性証明書などの提示で、到着後の隔離なく行動することができるため、ワクチン接種が進み、自主待機期間が短縮すれば、来春にも海外旅行が復活し、2024年頃にはコロナ前の状況に完全復活するとみている。しかし、現状では日本人がアジア各国を訪れることは、欧米諸国に比べ難しいため、アジアを目的地とした海外旅行の回復は更に遅れる可能性があるとした。

ただ、今回の感染拡大でテレワーク化が進み、海外出張は減るが、テレワークの併用により海外旅行の滞在日数が増えることを示唆し、より海外旅行がしやすくなるのではとして、鳥海氏は、アフターコロナで旅行しやすくなりコロナ禍前の旅行需要が戻るとの期待感を示した。

「TRAICY Webinar」は、旅行関連産業(航空・鉄道・ホテル・レンタカー・留学関連など)、広告の業界関係者と本誌取引先向けに無料で行われた。現在は対象者向けに、9月30日までオンデマンド配信を行っている。視聴には企業のメールアドレスでの登録が必要となる。