「Go To トラベル」停止も時短営業も効果薄 「まん防」でも”遠回り”な感染防止策【コラム】

国内で新型コロナウイルスが感染拡大して早1年。感染症との戦いは未だ先が見えないまま、初めての「まん延防止等重点措置」(まん防)が適用されることになった。「Go To トラベル」は停止され続け、飲食店の時短営業も延々と続いているものの、効果は疑問視されつつある。効率よく感染防止するために、何が必要なのか考えたい。

「Go To トラベル」全国停止から3か月 東京の時短営業は6ヶ月目に

全国一斉で「Go To トラベル」を停止したのは2020年12月28日。再開することなく、すでに3か月が経過している。

東京都では、2020年11月28日から飲食店への時短営業要請が始まり、開始から5か月が経過した。関東を中心にこの時短営業が要請され続けており、居酒屋などに限らず、牛丼屋や立ち食いそばなども含めた飲食店が午後8時や午後9時で閉店する光景が日常になった。

これらの対策を行っていても、東京をはじめとした各地域の感染者数は増減を繰り返しており、「Go To トラベル」の停止や時短営業要請の効果や意義が薄れていると考えざるを得ない。

本来すべき感染対策とは

厚生労働省が公開する新型コロナウイルスに関する情報の中で、新型コロナウイルスは、一般的に飛沫感染、接触感染によって感染すると明記されている。同様の内容は政府インターネットテレビなどからも確認できる。

「飛沫感染」とは、感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)と一緒にウイルスが放出され、他人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することを、「接触感染」とは、感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつき、他人がそれを触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染することとしている。これらの「飛沫感染」「接触感染」を防止することが、新型コロナウイルスの感染対策そのものであると考えるのが極めて自然で、かつ当然であろう。

「Go To トラベル」停止や時短営業要請は、これらの感染防止の直接的な対策ではない。間接的な対策であり、主に人出を抑制することに主眼が置かれている。「Go To トラベル」の停止には、観光地への旅行を推進するための補助を取りやめ、旅行する人の数を抑制する意味合いがあった。

飲食店の時短営業要請も、夜遅い時間の飲食店の営業を取りやめさせることで、夜間時間帯の人出を抑制させようとした。アルコールが入った人は、感染対策がおろそかになりがちであるから、アルコールの販売を控えたことにも一定の効果はあっただろう。

ただ、これらの人出を抑制する施策は、寒さの緩みとともに薄れつつあるのではないだろうか。東京都内では日中を中心に多くの人出があり、飲食店は混雑しつつある。特にランチタイムやティータイムには、繁華街の喫茶店やファミリーレストランでは混み合っている。

航空需要も増えており、航空各社は今まで減便していた便を復便したり、臨時便を設定している。鉄道やバスでは各地方によって大きく状況が異なるものの、行楽シーズンの到来で利用者が戻りつつある傾向にある。

先ほど、「Go To トラベル」停止や時短営業要請は、主に人出を抑制することに主眼が置かれていると考えられるとしたが、この人出抑制効果が期待できなくなっているのが、現在の状況だと言える。

今までは、人出を抑制することで飛沫感染や接触感染を減らすことが期待できた面もあり、これまでの「Go To トラベル」停止や時短営業要請自体を否定するつもりはない。

効果が期待できなくなったなら、その時点で最善な対策を打てば良い。社会には、対策の徹底とともに、知見を活用して取り込む柔軟性が求められる。

飛沫・接触感染とその防止策の意識を

どのような行動をするにあっても、接触感染と飛沫感染を抑えることを意識することが必要だろう。手洗い・うがいは感染症予防の基本である。アルコール消毒やマスクの着用、身体的距離の確保も、接触感染と飛沫感染を抑える。

一方で、まだまだ市中にはリスクの高い光景がしばしば見受けられる。

飲食店にてアクリル板などがない状態で、マスクを外して会話をしているのは、飛沫感染を抑えられていないことがわかる。夜の飲食店を控えても、昼に同じ行動をすれば、時短対策の意味はまったくない。

公共交通を避けレンタカーを借りたとしても、密閉した空間でマスクを外して会話をし続けても、飛沫感染のリスクはある。

旅先で食べ歩きをしたくなるが、食べ物をもつ手は手洗いやアルコール消毒などをしただろうか?接触感染の落とし穴も身近なところに潜んでいる。

日常生活においても、旅行や飲食店での飲食でも、感染防止は意識する必要がある。行く先々で感染経路を意識した感染対策を講じられて、かつ周囲も同様に対策ができていれば問題がないのではないか。一方、対策が徹底できていないならば、どのような行動をしても感染リスクを抱えることになる。

周囲が同様に対策ができているかどうかも感染対策のキモであるため、人と充分な距離をあけたり、人混みを避けることも必要になってくるだろう。

周囲を信用しないならば、人出を抑制する対策、つまり「G
o To トラベル」停止や飲食店の時短要請に意味が出てくるというある意味皮肉な結果になるのである。

感染防止策の転換点は近いうちにやってくる

今までは、「Go To トラベル」停止や飲食店の時短要請、さらに2度の緊急事態宣言に、程度の差こそあれある程度効果があったと見てよいと考えている。

ただ、今後新型コロナウイルス感染症と共存していくにあたって、対策の効果や持続可能性を意識し、効率よく感染防止を行っていく必要があるだろう。つまり感染症を効果的に抑え込む方向に社会が成熟する必要がある。

効果的に対策をするならば、はじめの一歩として、感染経路を意識した対策を取るべきだ。「接触感染」「飛沫感染」を抑え込むために、旅行中でも、飲食店を利用する際も、生活をあらゆるタイミングで、手洗い・うがいを心がけ、マスクなしでの会話を控える(飲食店での「黙食」など)などを徹底することが効果的だ。

同時に意識改革も必要だ。年単位で感染症と付き合っていく必要があるならば、もう「旅行はダメ」「飲食はダメ」などといった、効果の期待できない無駄な固定観念を持ったり、他人に押し付けたりすることはやめるべきだ。旅行に限らず、文化的な営みを排除する”我慢大会”の様相になってしまう。

先の見えないウィズコロナの時代において、「ダメ」だらけの我慢大会など続けられるわけがない。適切で効果的な対策を講じることで、旅行業界や飲食業界の生き残りにつながるのはもちろん、本来誰しもが求めるはずの、文化的な生活の継続につながるのではないか。

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