あなたはいくつ知ってた? 2019年マイラー10大ニュースを振り返る【橋賀秀紀のフカボリ!】

JAL A350

みなさんご無沙汰しております。トラベルジャーナリストの橋賀秀紀です。

今回は昨年に引き続き、2019年に起きたマイラー的10大ニュースを振り返ってみたいと思います。思いつきで10大ニュースを振り返り、その意味や意義を考察してみました。

マイルやホテルの会員制度は頻繁に変更があり、昨日まで存在していた裏技が、今日には全く使えなくなってしまうこともあります。ですが、温故知新ということばがあるように、過去をきちんと検証していれば、今後似たような事例が現れたときに、より適切に対処できる可能性が高くなるといえます。さて、あくまで私的な判断ではありますが、2019年の10大ニュースを振り返ってみたいと思います。

ペイペイ20%還元祭り(2018年年末)

正確には2018年の話にはなりますが、キャンペーンそのものは2019年にかかっているので、まずはこれを取り上げたいと思います。2019年は”○○ペイ”が流行語大賞の候補となるほど急速に普及した年となりましたが、なんといっても注目度が高かったのはペイペイの「100億円あげちゃうキャンペーン」でしょう。このキャンペーンの注目度が高かったのは割引の限度額が最大5万円と高かったこと。また一定の割合で買い物が無料になるという仕組みも話題を呼びました。筆者もHIS(エイチ・アイ・エス)のカウンターで約17万円の航空券を購入して、34,000円ほどのキャッシュバックを獲得しました。

ベトナム発ニューヨーク往復ファーストクラスが約9万円で販売(1月)

エラーフェア(エラーチケット)というのは、航空会社やホテルなどが、誤って非常に安い料金で販売してしまうものです。もちろん非常に高く設定してしまうまちがいもありますが、誰一人買わないので話題にもなりません。

これはいわゆるヒューマンエラーですのでいつ登場するかはまったく分かりませんが、2019年の元旦(正確には2018年の年末から)はキャセイパシフィック航空のエラーチケットで世界中の航空業界は騒然となりました。この手のエラーチケットは情報が表に出てから数時間程度で買えなくなることも多いのですが、この時は丸1日以上にわたって販売が続けられたこともあり、購入者の数はかなり多かったようです。エラーチケットは仮に予約発券ができても航空会社から取り消されることがままあるのですが、この時はマスメディアもとりあげるほど注目が集まり、結局、キャセイパシフィック航空はすべて認めるという英断を行いました。筆者もダナン発ニューヨーク行きを2往復分購入しましたし、トライシーのG編集長もこのチケットを利用してニューヨークへ飛びました。

エラーチケット情報は、フライヤートーク シークレットフライングが詳しいです。

もちろんそんなに頻繁に出るものではないので、空振りを覚悟で定期的にこれらをチェックするしかありません。ちなみに1月にはエミレーツ航空ファーストクラスのハノイ発ドバイ行きが約110,000円で販売され、取り消された代わりにおわびとしてマレーシア航空エコノミークラスの無料航空券が提供されたほか、キャセイパシフィック航空ファーストクラスのリスボン発香港行きが約166,000円で販売され、有効と判断されるなど、1月は「エラーチケット祭り月間」となりました。

LINEトラベル+dトラベルで大還元祭り(1月・5月)

LINEトラベルjp

LINEトラベルjpは、もともとTravel.jpというサイトがLINEの傘下に入って改称されたものです。LINEアプリ経由で予約すると断続的にポイント還元が得られます。たとえば12月23日時点では、Airbnb(エアビーアンドビー)がすべて20%還元と大盤振る舞いです。

1月・2月にdトラベルというオンライン旅行会社では3万円以上の宿泊をすると3万円分のポイントを還元するキャンペーンを行っていました。このキャンペーンとLINEトラベルの20%オフを組み合わせるというとんでもないことが起き、ネットではちょっとした祭りになりました。この「キャンペーン被り」は5月にもありました。なかには宿泊時にクオカードなどをもらえるホテルに宿泊することで、事実上無料で宿泊するという猛者まで登場したようです。

ANAがA380のHONUでハワイに殴り込み(5月)

ANA(エアバスA380型機、ダニエル・K・イノウエ国際空港)

A380を購入したANAはJALの独壇場ともいえるハワイ市場の牙城を崩すべく、この超大型航空機を成田〜ホノルル線に投入しました。注目を集めたのはニュージーランド航空が開発した、フットレスト部分を水平に持ち上げることでソファーのように利用できる「ANA COUCHii」を導入したこと。ハワイ行き5万円台の格安ツアーにこのホヌが使われている事例もあるようです。

とうとう日本発欧州行きの底値が3万円台に(夏以降~)

2019年夏以降、日本から中国系航空会社を利用した欧州行きで次々と安い航空券が出ています。筆者が実際に予約したのは那覇発ベルリン往復(吉祥航空+フィンエアー)。総額なんと約38,250円台という激安価格でした。このほかにも羽田発トロムソ(ノルウェー)往復が総額54,700円(吉祥航空+フィンエアー)といった価格も見られました。ちなみにこの傾向は現在も続いており、12月23日時点では、静岡発ストックホルム往復がお盆のピーク時でも5万円台と驚異的な安さとなっています

ANAの新ビジネスクラス「THE Room」が登場(8月)

THE Room

もはやビジネスクラスも個室化の波が押し寄せていますが、ANAが満を持して新ビジネスクラスの「THE ROOM」を投入しました。最初に導入された路線は羽田~ロンドン。その後、11月には羽田~ニューヨーク、さらにフランクフルト線での投入も決まっています。個室化はともかく1人あたりの占有スペースの広さはシンガポール航空のビジネスクラスに並び、業界最大レベル。もはや一昔前のファーストクラスをも凌駕しかねない勢いです。問題は特典でとれるかどうか…ですね。

買い物がすべて20%オフ。クイックペイ祭り(8月~12月)

2018年年末のペイペイ大型キャンペーンの後は何かと小粒のキャンペーンが続いたのですが、2019年下半期で最も話題を呼んだのはこれでしょう。JCBカードをApplePayないしGooglePayに設定して利用すると20%オフとなるもの。1枚のカードにつき1万円が上限なのですが、JCBカードを発行しまくってキャッシュバックを獲得しまくったマイラーも少なからずいたようです。ちなみに2019年末時点でもっとも還元率が高いと思われるのは、メルペイスマート払い5%ポイント還元(2020年1月31日まで)です。還元されるポイントは最大1,000ポイントなので小粒ではありますが、地道に生活費を浮かすことはできます。

消費税ポイント還元制度の導入とポイント還元率の改悪(10月)

消費税増税は全国民にとって大きなニュースでしたが、マイラーにとってはとりわけ大きなニュースといえます。総務省主導の消費税ポイント還元制度は2020年6月まで中小規模の商店では5%、コンビニなどでは2%還元が得られるというもの。当初は導入した店舗が少なかったのですが次第に拡大の傾向をみせています。この還元制度で注意したいのは、還元が得られるのはそれぞれの店が定めた支払い方法にかぎられるということです。いずれにしても国の歳出から投入されているのですから使わないと損です。ただし、このタイミングにあわせて各社の○○ペイなどは還元率を引き下げてしまいました。さすがにこれまでが大判振る舞いすぎたともいえますが…。とはいえ今後もキャンペーンは不定期で実施されるので、うまくこれらを使い分けたいものです。

100円で3マイル獲得の神カードが消える(10月)

ユナイテッド航空(ボーイング787-9型機)

MUFGニコスとユナイテッド航空のマイレージプラスが提携して発行している、「MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージ」というクレジットカードがあります。このカードはリボ払い設定にすることによって国内利用は100円につき2マイル、海外利用にいたっては100円で3マイル獲得できるという「神カード」でした。ところが、2019年10月16日利用分以降は、国内利用が100円で1.5マイル、海外利用は100円で2マイルと大幅に引き下げられてしまいました。とはいうものの、現時点でも海外利用について100円で2マイルというのは還元率としては最も高い部類と言え、依然として利用価値はあります。

アラスカ航空マイレージプランの改悪とSQスイート祭り(10月)

アラスカ航空

アジア内のJALビジネスクラスに事実上片道12,500マイルで搭乗することができることでマイラーに人気の高いアラスカ航空。これまでデリー→東京(途中降機)→バンコクといったルートが、ビジネスクラスでトータル25,000マイルで発券できたのですが、これができなくなりました。もっともいままでが美味し過ぎたともいえ、現状でもアジア内のビジネスクラスは片道25,000マイルで発券可能なうえ、燃油サーチャージも課さないので依然として優位性は保たれています。また、この改悪とほぼ時を同じくしてアラスカ航空のマイルでシンガポール航空の特典がオンライン予約可能となりました。この導入当時、通常他社では絶対に予約がとれないシンガポール航空のスイートの予約がとれるということでも話題となりました。こちらもG編集長がとったとか…(笑)。

ちなみにアラスカ航空マイレージプランにはまだまだおいしい使い方があるので、また機会を改めてご紹介したいと思います。

2019年を振り返ると、ホテルプログラムについては目ぼしいものがあまりなかったといえます。しかし谷あれば山あり。2020年もさまざまなキャンペーンなどを駆使して上手に旅行を楽しみましょう!