春秋航空日本の実力を体感 成田発千歳行早朝便に乗った【搭乗レポート】

12月中旬の平日に、春秋航空日本(SPRING JAPAN)の東京/成田発札幌/千歳行き早朝便に搭乗した。

筆者は、春秋航空日本に対してあまり良いイメージを抱いていなかった。2017年頃に起きていた運航上のトラブルによって、ちょうど同時期に航空機を使って旅行をし始めていた筆者は敬遠していた。

今回は紆余曲折あって、春秋航空日本で「飛ばざるをえなかった」状況だったのだが、ネガティブな期待は裏切られた。

成田早朝便は大変だが…

札幌/千歳行のIJ831便は、東京/成田を午前7時40分に出発する。正直言って、朝が早い。

筆者は山手線の東側から、午前4時台後半に出発。京成スカイアクセス線のアクセス特急の初電車を利用すれば余裕をもって成田空港にアクセスできる。東京駅方面から格安高速バスを利用するのも通常の道路状況なら十分可能だろう。

成田空港第3ターミナルでは自動チェックイン機を使えばものの数分で搭乗手続きが終わる。筆者が利用したとき、手荷物預けカウンターも人影はまばらだった。

一方で、同ターミナルを使用するジェットスター・ジャパン、ピーチともに早朝便は多く設定されているので、保安検査場は混雑していたのが対照的だった。

搭乗率はまずまず、中国人が多い?

12月中旬の水曜日であったが、体感の搭乗率は7~8割程度。早朝便であることを踏まえれば、悪くない状況だと思われる。

自席に座ってみると、通常の座席でもシートピッチはそこまで狭いと感じなかった。春秋航空日本が使用するボーイング737-800型機は、左側の座席のみ10列目があり、右側よりも1列多い。16・17列目の非常口座席以後は等間隔なので、左側前方は極力避けたい。

自席のまわりを見渡すと、中国版LINEこと「微信」のスマホ画面がチラチラと見えた。おそらく中国の方なのだろうと推察。もちろん筆者みたいに中国語がほとんど話せなくても「微信」を使っている人もいるかもしれないが…

機内インテリアは緑基調。爽やかな印象を受けた。客室乗務員の緑や黄色のスカーフも個人的には印象が良かった。

バス搭乗のせいか、予定よりも実際の出発時刻が遅かったようだが、出発が手間取ったとは感じなかった。ドアクローズ後は長い誘導路などを通り離陸。

春秋航空日本名物の「嬉野茶」は筆者のお気に入りに

春秋航空日本の機内販売の軽食は、就航地、特に広島・佐賀にまつわるものが多い。その中でも佐賀の名産「嬉野茶」(200円)を、物の試しということでオーダーしてみた。

ごくごく普通のカップに入って提供される温かい日本茶。

蓋をあけてみると、結構濃い目のようだった。筆者好み。さらに、機内の飲み物は基本的に火傷を防止するために温度が低めだ。となると、ごくごく飲める。

見渡したところ、自分の他に機内販売を利用した乗客は2、3名といったところ。嬉野茶をオーダーしたのは自分のみ。この嬉野茶は、国内線でオーダーした場合は飲み放題なので、当然お代わりをお願いする。

結果から言えば、シートベルト着用サインが点灯するまでに3回お代わりをしてしまった。特に3回目のお代わりは、お願いするつもりはなかったが、CAさんが「お代わりいかがですか?」と声をかけてくれた。

当然の結果だが、着陸する頃から尿意に襲われる。くれぐれも飲み過ぎには注意だ。今度は飲みすぎないようにリベンジしたい。

コストパフォーマンスは良好

飛行は順調で、少し遅れたものの新千歳空港に着陸。新千歳空港は濃霧だったが、着陸は問題なかったようだ。まばらな荷物受け取り用ターンテーブルを横目に、制限エリアを後にした。時刻は午前10時前。札幌や小樽中心部でランチを楽しむにはちょうどいい時間帯だ。

この早朝便は、以前よりも出発時刻が繰り下げられ、利用しやすくなったこともあり、想像よりも便利だと感じた。朝はどうしても早くなるが、現地で半日をフル活用できる。ただ、成田空港のアクセスのために前泊するのは、コスト面からも抵抗があり、現行の運航ダイヤに間に合う場所を出発地にしている場合は…という条件付きではあるが。

機内は、至って普通な日本の航空会社であると感じた。中国語のプリコーデッドアナウンスこそあれど、アナウンスは日英でのみ行われる。早朝便ということもあり、日本の航空便“らしい”静かな機内は快適だった。

今回の運賃は片道5,000円程度で、札幌到着後の時間をより長くとれるメリットを考えれば、多少不便な点もないわけではないが、コストパフォーマンスは良好だと感じた。

まだまだ一般向け知名度は高くないものの、運航開始5年を迎え、増加する中国人観光客を中心に勢いづくきっかけは十分にあるだろう。筆者も同社のサービスはまた利用したいと感じた。今後のさらなる飛躍を期待したい。