天皇皇后両陛下も訪問 神武天皇が眠る「日本はじまりの地」、橿原を巡る

天皇、皇后両陛下は11月27日、一連の即位の儀式を終えたことを報告するため、奈良県橿原市の神武天皇陵を参拝した。

新天皇が即位する際は神武天皇山陵と前四代の天皇山陵に参拝することが通例で、歴代の天皇が橿原を訪れている。神武天皇陵の傍には、「日本のはじまりの地」と呼ばれる橿原神宮が所在し、橿原の見所の一つになっている。新たな時代の始まりである令和元年の今、筆者も橿原の地を訪れた。

神武天皇陵


両陛下が「親謁の儀」に臨まれた神武天皇陵は、近鉄・畝傍御陵前から徒歩約9分。大和三山のひとつ、畝傍山の北東の麓にあり、正式名称は畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)という。周囲約100メートルの植え込みに囲まれた円形の陵で、第一代天皇の神武天皇が眠る。3月には当時の天皇、皇后両陛下(現在は上皇、上皇后両陛下)が、退位を報告するために参拝したことも記憶に新しい。

橿原神宮


神武天皇と皇后・媛蹈鞴五十鈴媛(ヒメタタライスズヒメ)を祭神として祀る。神武天皇の皇居である橿原宮がこの地にあったとされることから、明治時代に官幣大社として創建された。神社としての歴史は浅いが、境内には神聖で厳かな雰囲気が漂う。

日本書紀などによれば、後に神武天皇となる神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコノミコト)は約2,600年前、天下を治めるため大和国を平定し、畝傍山の麓に橿原宮を創建した。そして、紀元前660年1月1日に第一代天皇として即位したという。これが、橿原神宮が「日本はじまりの地」と呼ばれる所以というわけだ。ちなみに、神武天皇即位の日をグレゴリオ暦に換算すると2月11日にあたる。「建国記念の日」の由来である。

▲橿原神宮内拝殿。奥に見えるのが畝傍山

橿原神宮の神域は53万平米にもおよぶ。本殿は京都御所の賢所を移設したもので、通常の神社建築の本殿に見られる千木と鰹木がないのが特徴だ。下賜された賢所に手を加えるわけにはいかなかったのである。そのため、千木と鰹木は手前の幣殿に設けられた。

▲外拝殿

通常は外拝殿での参拝となるが、初詣シーズンなどは内拝殿まで進んで特別参拝できる。2020年2月・3月には橿原市観光協会が、儀式殿での朝拝体験と内拝殿の特別参拝ができる体験ツアーを実施する。冬の清冽な空気の中で、「日本のはじまり」について思索を深めることができるだろう。

▲儀式殿での朝拝

▲社紋はカシの葉の「橿紋」

▲天皇陛下の勅使が参向する際に身を清める勅使館。1917年建造

▲勅使館は通常非公開だが、12月8日まで特別公開されており、時間によっては神職の解説を聞きながら見学できる

▲天皇陛下から下賜された御幣物などが展示されている

▲特別公開期間中は、東海道新幹線の「エクスプレス予約」「スマートEX」を使って橿原神宮を訪れ、勅使館の拝観時に「EXご利用票」(京都または新大阪着に限る)等を提示すると、改修中の鳥居の古材を使った「開運招福・健康延寿鳥居古材木札」を受けられる