スカイマークは何故サイパンを選んだのか 市江社長が語る「挑戦するDNA」

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経営破綻から約5年、スカイマークがいよいよ国際線に挑戦する。初の国際定期路線として開設するのは東京/成田〜サイパン線。11月29日からボーイング737-800型機で1日1往復を運航する。

同路線をめぐっては、2018年にデルタ航空が撤退。日本とサイパンを結ぶ直行便は消滅した。最盛期には年間約45万人の日本人が訪れていたサイパンだが、2018年には約4万人に落ち込んだ。

ビジネス需要が見込めるアジア圏という選択肢もある中、スカイマークはなぜサイパンを選んだのか。同社の市江正彦代表取締役社長は、企業ミッションの1つである「革新性と多様性」を持ち出した。

再生後の2016年に定められた企業ミッションには、「革新性と多様性」「地域共生」「安全・安心・快適・身近」の3つが掲げられている。このうち「地域共生」と「安全・安心・快適・身近」については、既に実現していると言って差し支えない。2000年代から茨城空港や神戸空港に根付き、両空港の利用拡大に貢献した。定時運航率も2年連続で国内第1位を獲得している。

では、「革新性と多様性」はどう進めるのか。その答えへの道筋として目をつけたのが、空白路線となっていたサイパン線への挑戦だった。

「単に国際線に出るということではない。他社とは違う路線、価値ある路線を選びたいと思った」

既存のボーイング737-800型機が就航でき、飛行時間は片道4時間未満。3日程度の行程でも十分に楽しめる。174席の同型機を毎日飛ばせば、年間の供給量は約6万5,000席。失われた市場を再創造し、新たな価値を提供できると見込んだ。日本人の再来を期待する現地の声も大きかったという。

「チャレンジするDNAを大事にしなければならない」

市江社長はそう考えているという。同社は1998年、従来の航空業界に価格破壊をもたらす会社として運航を開始した。繁忙期にも片道数千円台の格安運賃を設定する挑戦的な戦略は、航空機利用者の裾野を広げた。

今後、パラオへの乗り入れも目指すスカイマーク。神戸空港が国際化すれば、また新たなチャレンジも見えてくる。今回の東京/成田〜サイパン線は正念場となりそうだ。