エイチ・アイ・エス、銀行代理業に参入 5年で100万ユーザー視野、サービス名は「Fimple Bank」

エイチ・アイ・エスとH.I.S Impact Finance、GMOあおぞらネット銀行は、包括的業務提携に向けた覚書を締結した。9月までに契約を締結し、将来的に銀行業に参入する。

サービスブランドは、”ファイナンスをシンプルに”というキャッチフレーズから名付けた「Fimple(フィンプル)」で、銀行代理業に関連するサービスは「Fimple Bank」、既存の信用保証やファクタリングサービスを「Finple決済」として提供する。

H.I.S. Impact Financeは、GMOあおぞらネット銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を、3月4日付で関東財務局から取得しており、媒介によるサービスを開始する。まずは7月頃に銀行代理業関連サービスのパイロットスタート、9月頃の本格提供を見込む。

GMOあおぞらネット銀行は、APIを通じて銀行システムの外部提供を行う、「プラットフォーム銀行構想」を掲げる。H.I.S Impact Financeとの提携で、単体ではアプローチできなかった顧客の獲得を期待する。H.I.S Impact Financeでは、GMOあおぞらネット銀行のシステムを活用することで、初期投資を抑えて銀行業に参入できる。

エイチ・アイ・エスの澤田秀雄代表取締役会長兼社長(CEO)は、旅行業やテーマパーク、ホテル、エネルギー、ロボットの各事業とともに中核事業に育て、旅行業に匹敵する規模にまで拡大できるとの見通しを示した。

世界では、「チャレンジャーバンク」と呼ばれるドイツ・ベルリン発の「N26」や、「ネオバンク」であるアメリカの「Simple」といった、従来の枠組みを超えた銀行が増えている。いずれも基本サービスを無料で提供しており、「N26」では、貸付による利息や為替手数料、デビットカードによる決済手数料など、「Simple」では、集めた預金の運用益を収益としている。エイチ・アイ・エスでは、これらの銀行システムは数年で日本にも進出するとみており、早期進出でシェア拡大を狙う。

「Fimple Bank」では、振込手数料、口座維持手数料、ATM入出金手数料は実質無料で提供する。修学旅行の積立口座や「旅行お帰り払い」と呼ばれる後払いシステム、旅行時の両替や現地ATM手数料、外貨預金の為替手数料などのほか、エイチ・アイ・エスの現地支店とともに留学生や実習生向けの金融インフラサービスを提供することで、収益化を目指す。初年度は2万口座の口座媒介、5年で「Finple Bank」のユーザー数100万ユーザーを目標とする。