「荷物検査でフライト遅延」を無くせ 欧州LCCの合理的な解決策【さかいもとみの旅力養成講座】

ライアンエアー

こんにちは、トラベルライターのさかいもとみです。

今回は、日本でも急速に利用者が増えている格安航空会社(LCC)の「手荷物」についての話題を取り上げてみましょう。

LCCの手荷物は「別料金」が基本

世界中の多くのLCCでは、受託手荷物料金が運賃に含まれないことが一般的です。手荷物や座席指定、機内食などは必要な人だけが追加料金を払う仕組みにして、基本運賃を下げるという戦略がとられています。

受託手荷物の料金は、サイズや重量によって段階的に決められており、オーバーすると超過料金という名の「罰金」が徴収されてしまいます。機内持ち込み手荷物にも規定が設けられており、超過した際には高額な当日料金を払って荷物を預ける必要があります。こうした罰金がLCCの収益の一部になっているのも事実です。

欧州で手荷物規則が緩和

欧州ではこの「運賃を下げて搭乗率を上げ、罰金で儲ける」という考え方に、重要な変化が起こっています。欧州の複数のLCCで、手荷物規則が従来よりも緩和されました。

この変化が重要な理由は、厳格な手荷物チェックに時間をとられて遅延してしまう、という事態を減らすことに繋がるからです。手荷物による増収よりも定時運航の方が、航空会社にとっても乗客にとってもメリットは大きいのです。

飛行機の手荷物が注目を集めるようになった背景には、LCCの利用の増加、レガシーキャリアのLLC化があります。

欧州でLCCはすっかり一般的な乗り物になりました。LCCを使えば短距離なら国際移動でも1,000円から2,000円程度で済むようになり、電車やバスよりも飛行機の方が安くて早い場合も多いです。昨年アイルランドのLCC、ライアンエアーの旅客数が、欧州全体でルフトハンザグループに次ぐ2位になったことは、LCCの利用の多さを表しています。最近では短距離移動だけでなく、LCCによる長距離移動も可能になりました。小さな機材ながら遠くに飛べる機体の出現により、「欧州から直接アメリカ大陸にLCCで行ける」という新たな時代がやってきています。

またLCC化したレガシーキャリアも増えてきました。欧州ではLCCが非常に力をつけてきており、レガシーキャリアが高い運賃を付けてあぐらをかいているのでは商売にならないという状況になっています。実際に、ルフトハンザグループやブリティッシュ・エアウェイズなどは荷物代分を差し引く形で安い運賃を提供するようにもなりました。

今回は航空会社と乗客の双方にとって、今までよりも重要度を増してきた手荷物の取り扱いについて述べてみましょう。

欧州LCCは「サイズ」だけを重視

日本でLCCに乗る際、「機内持ち込み手荷物の重さをゲートで測る」といったようなチェックが実施されています。航空会社によっては、かなりシビアな計測を行っているようで、 その結果「ゲートエリアにあるお土産屋さんであれこれ買おう」といった楽しみが失われる、という弊害が生まれて来ているようです。


(写真はイージージェットの機内持ち込み手荷物のサイズ測定ケース)

そんな中、欧州の主要なLCCのライアンエアーやイージージェットでは、こんな方法がとられています。

・イージージェットでは、荷物の大きさは「所定のゲージに入らなければいけない」規定があるものの、重さについては「規定なし」。自分でオーバーヘッドロッカーに収められれば良いとされている。
・ライアンエアーでは、キャリーケースはチェックインカウンターで預けなければならないが、機内に持ち込める小さいサイズのハンドバックについては重量規定がない。
・両航空会社とも、主要空港の免税店(ゲートエリア)で買ったものについては、「バッグの個数とは関係なしに機内に持ち込み可」。

この程度に規定を緩めておくと、旅客のストレスもかなり減りますし、ゲート付近でスタッフが闇雲にチェックをしない分、仕事も減ります。つまり「荷物代で増収を目指そう!」というよりかはむしろ「定時運航のためにお客をどんどん流そう」というところに注力できるメリットがあるようです。

LCC化したレガシーキャリア便が狙い目かも

しかし多くの日本人旅行者、特に欧州での旅になれないという方にとって、いきなり現地のLCCを利用するのは抵抗があるかもしれませんね。

そんな時に利用したいのは、LCC化したレガシーキャリアの便かもしれません。手荷物料金が含まれない運賃で搭乗する場合、持ち込み手荷物の規定は割と緩めで、キャリーバッグ+小さなバッグそして免税店のお土産などを持って入ろうとしても特に咎められる事はありません。そしてなんといっても、LCCにありがちな辺鄙な場所にある空港ではなく、その街のメイン空港から発着しているのは慣れない旅行者にとって大きなメリットかもしれません。さらに、遅延やキャンセルが起きたときのケアもLCCよりずっとしっかりしています。

先行する欧州、続くアジア

日本ではまだ、「なんとなく安全性に不安」とか「価格の設定がよくわからない」などの理由でLCCを積極的に使わない人がいるようです。企業努力で顧客に安価な運賃でチケットを提供してくれているにもかかわらず、逆にそれが「飛行機にそんなに安く乗れるわけがない」と一部の人には不安材料になっている傾向もあり、なんだか痛しかゆしな感もします。

アジアにもずいぶん多くのLCCが誕生しました。ビジネスモデルとして先行している欧州のLCCではこのように次から次へと新しい戦略が生み出されています。アジアでもよりカスタマー本位のサービスが展開されることを期待したいものです。

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