ベトナム・ハノイ周辺の知られざる観光地を巡る(前編)【レポート】

ハノイ市観光局の主催とベトナム航空の協力による、メディアおよび旅行会社向け取材・研修旅行に参加してきたので、その模様をお伝えしたい。

取材・研修旅行のテーマは世界遺産であるハロン湾をあらためて紹介するとともに、ハノイ近郊でまだスポットが当たっていない村々を日本の旅行者にお知らせするというもの。8月20日から4泊6日となる行程ではベトナムの世界遺産「フエの建造物群」「古都ホイアン」「ミーソン聖域」「タンロン皇城の中心区域」「胡朝の城塞」(文化遺産)「ハロン湾」「フォンニャ=ケバン国立公園」(自然遺産)「チャンアンの景観関連」(複合遺産)のうち、「タンロン皇城の中心区域」「ハロン湾」を訪れる。

今回、ツアー一行の集合形態は少し変わったものとなった。成田発の東京エリア組に限らず、名古屋、関空、福岡の各空港からの参加もあり、現地ハノイ・ノイバイ空港の到着ロビーでの参集となった。コストのかかる日本サイドでの集合とならず、現地空港での集合を可能にしたのはベトナム航空利用の恩恵ともいえる。

■ダイヤ
VN311 東京/成田(10:00)〜ハノイ(13:10)/毎日(7月1日〜8月31日)
VN347 名古屋/中部(10:15)〜ハノイ(13:05)/毎日(7月1日〜8月31日)
VN331 大阪/関西(10:30)〜ハノイ(13:00)/毎日(7月1日〜9月30日)
VN357 福岡(10:30)〜ハノイ(12:45)/月・火・金・土(7月2日〜9月29日)

実際にわずか25分の時間差で各方面からハノイ・ノイバイ空港の到着ロビーに集合、顔を合わせた一行はツアーバスに乗り込む形となった。帰国便のハノイ出発時も55分の間に各方面に出発するため、夜半、揃って空港へ向かうことができた。

ベトナム航空

このような離れワザができるのも同時間帯にハノイへ降り立つベトナム航空ならではの強み。フラッグシップキャリアならではの利点で設定された到着時刻は日本の地方都市に居住する親戚や友人同士が現地空港で顔を合わせ、ベトナムや東南アジアの旅へ向かう旅のスタイルすら想像させてくれた。

ベトナム航空

ベトナム航空は現在、日本各都市からハノイ、ダナン、ホーチミンシティのベトナム各都市へ乗り入れ、さらにはここから東南アジア諸国へ足を伸ばす乗り継ぎ便としても人気を集めている。費用が高い日本国内の移動を省き、ベトナム旅行あるいはアジア旅行のスタート・ポイントとしてベトナム航空を利用し、「ハノイで逢いましょう」というのがキーワードになってくるかもしれない。

到着時刻に注目していただきたく、順序が入れ違ってしまったが、機内を紹介する。

最上位クラスである「ビジネスクラス」には専用のバーが設置されているのが大きな魅力。食事を楽しんだ後には到着までお好きなお酒をゆったり堪能することができる。快適なシートで過ごすか、専用バーを楽しむか、中距離フライトでは物足りなさすら感じてしまうかもしれない。

ベトナム航空

そのひとつ下のクラスとなる「プレミアム・エコノミークラス」は通常の「エコノミークラス」よりも広い座席が提供され、充実のアメニティグッズが配られるので寛ぎのフライトを満喫することができる。また空港カウンターでは「優先チェックイン・サービス」が導入されているので、出発前の貴重な時間を費やさずに済むのはこの上なく大きな利点だ。

元来、イギリスの航空格付け会社のスカイトラックス社から3つ星の評価を受けていたベトナム航空だったが、「ゴールデンロータス」のロゴ設定、女性客室乗務員の制服をベトナムの伝統衣装であるアオザイに刷新したこと、人材育成やサービス向上、新機種の導入など微に入り細に入る変更が大きく評価され、2016年7月、4つ星の認定を受けている。現在もその評価を保ち、利用者に評判の高いサービスを提供しつづけており、リピーターの評価は高い。

搭乗時には目にも鮮やかなライムグリーンのアオザイのアテンダントがお出迎え、機内でも同系色で整えられた明るく美しい内装が迎え入れてくれ、どのクラスであってもベトナム航空カラーで包まれた柔らかな空間で現地までの時間を過ごすことになる。

「エコノミークラス」では最新式のパーソナル・モニターで映画や音楽を楽しむことができ、最新機種のほとんどでモニター脇に備えられたUSBポートから電源供給を受けることが可能、持参したIT製品の電池切れを気にすることなく使用できるのは細やかながらうれしいサービスだ。

気になる機内食は配布のメニューからお好みのメインディッシュをチョイス、日本出発便には和食も用意され、その味付けの評判は高い。またエコノミークラスながらアルコールサービスに「スパークリングワイン」が含まれているのは珍しい。

旅行者が心配になる「無料受託手荷物」の許容重量も日本発着便に関してはエコノミークラスであっても40キロまでの預け入れが可能。フルサービスキャリア(FSC)ならではの大きなサービスポイントであり、重量制限のきびしいローコストキャリア(LCC)ではこうはいかないだろう。帰路を気にせず、心おきなくベトナム雑貨やお土産などの買い物を楽しむことができる。

一行は旧市街のローカルの食堂でフォーなどを胃袋に収めた後、新市街にある「Pullman Hanoi Hotel(プルマン・ハノイ・ホテル)」へチェックイン、翌日以降に備えた。到着時はフライトで疲れたカラダを休めることも重要事項。渡航先で生じる腹痛はこの「フライト疲れ」が大きな原因のひとつで、初日から飛ばすのはタブー行為ともいえよう。上がったテンションをなんとか抑え、異国の慣れない環境、馴染みない気候に徐々にカラダを馴らしていくことが肝要だ。

2日目、ハノイ郊外にある「ドゥオンラム村」を目指す。1200年以上の歴史を持ち、400年以上経つレンガ造りの家々が軒を連ねる村を訪れた。

農業を中心に据えた生活を送る静かな村をハノイ観光局は「次なる世界遺産」と意気込み紹介する、そのため村内にはヨーロピアンの旅行者の訪問が多い。日本人には見慣れたアジアの農村の情景もヨーロッパの人々には美しく映るのだ。

ドゥオンラム村内で地元料理のランチを摂った後、シルクの織物を手掛け、1000年以上の歴史を紡ぐといわれる「ヴァンフック村」を訪問。

機織り機が音を立てる工房を見学、その後はショップへ、とツアーにありがちなお決まりコースに思えたが、スカーフやポーチ、ネクタイなど普段使いにもなる天然シルクが破格の値段ということで、目の肥えた旅行会社スタッフや取材陣が巻き込まれていったのが印象的。

扱う商品に信頼のおける店ならではの一幕でもある。

陽が沈む頃合いに「国立水上人形劇場」で水上人形劇を鑑賞。ハノイを訪れる国内旅行者にも人気が高く、もっともチケットが取りにくい劇場とのこと、ただしその観劇料金は400円ほどと破格でもある。古来は豊作や五穀奉納を祝った劇で、ステージ、水上、楽器演奏が融合し、目まぐるしく展開。ベトナム語が分からなくても充分に堪能できるので忙しい旅先でも観劇のひと時に身を委ねてみたい。

今回宿泊の「プルマン・ハノイ・ホテル」は新市街ドンダーに位置し、「文廟」「国立美術館」も徒歩圏内、また旧市街へも実際にタクシーで10分ほど、50,000ベトナムドン(VND、≒250円)前後で、観光でもビジネス滞在でも動きやすいロケーションを誇る。全館で無料のWi-Fiが利用でき、ジム、プールも無料利用可能。室内では充実のアメニティが並び、女性宿泊客も満足させる。毎日無料のミネラルウォーター・ボトルが供されるのも日本人旅行者には安心だ。バラエティに富んだブッフェ・スタイルの朝食はビジネスマンの間でも話題とか。

ベトナムはホテル料金が非常に安く、日本人旅行者にとっては至福の滞在が見込める。日頃、敷居が高い「超」がつくような高級ホテル、あるいは格式あるホテルを狙って滞在するのがオススメ、ハイソなホテルライフもベトナム旅行の大きな魅力のひとつ。市内では1989年に全線廃止された路面電車に代わり、鋭意竣工中の地下鉄2A号線が2018年に開業予定、交通ラッシュの緩和にも期待が高まり、さらに旅行者の背中を押す。

次回は世界遺産「ハロン湾」での豪華クルーズ船宿泊の模様を紹介する。