シンガポール航空、ボーイング787-10型機を公開 日本線全路線に年内投入へ

シンガポール航空は4月4日、ボーイング787-10型機の2号機目(機体記号:9V-SCB)を関西国際空港で報道陣に公開した。

アメリカ・サウスカロライナ州にあるボーイングのノースチャールストン工場からシンガポールのチャンギ国際空港へ向かうデリバリーフライトの寄港地として関西国際空港を経由した。初号機は現地時間3月25日に受領しており、すでに訓練のため飛行を行っている。5月3日からは定期路線として初めて、大阪/関西〜シンガポール線に投入する。初便出発時にはセレモニーを行うほか、記念品の配布も予定している。

現在、大阪/関西〜シンガポール線は1日2便をいずれもエアバスA330-300型機で運航している。当初は1日1便のみの投入で、2018年下期を目途に全便をボーイング787-10型機での運航に切り替える。これにより、供給座席数と貨物の積載量はそれぞれ18%増加する。さらに2018年中に、東京、名古屋、福岡線にも順次導入を計画している。

ボーイング787-10型機の導入に合わせ、新型シートを導入した。長距離路線用と中・短距離路線用でプロダクトを区別しており、ボーイング787-10型機に搭載するのは中・短距離線用の新型シートとなる。総2階建てのエアバスA380型機には、長距離路線用の新型シートの導入を開始している。

ビジネスクラスはステリア・エアロスペース製のスタッガードシートを導入し、「1-2-1」配列で36席を設ける。

中・短距離路線用シートとしては初めてとなるフルフラットシートで、全長76インチ(約193センチ)。全席が通路に面するようになった。中央部分の2席のうち一部座席はダブルベッドとしても利用でき、真ん中の仕切りを下ろすこともできることからカップルやグループでの利用、窓側席はビジネスマンの利用を想定する。

座席幅は26インチで、中央部分には可動式の仕切り、収納できる肘掛け、個別収納スペース、電源、2つのUSBポート、明るさの調整が可能な読書灯も設置した。エンターテインメントは18インチのタッチパネル式フルHDモニターで楽しむことができる。

エコノミークラスはレカロ製の人間工学に基づいたシートを、「3-3-3」配列で301席設ける。

ヘッドレストは6段階に調整でき、首の形状に合わせて折りたたむことができる。小さな手回り品を収納できるスペース、コートフック、前の座席の背もたれ下に電源、画面横にはUSBポート、折りたたみ式のテーブルには収納式の鏡も設置した。エンターテインメントは11.6インチのタッチパネル式フルHDモニターで楽しむことができる。

従来の座席には装備していたフットレストは、利用者が少ないことから新型シートでは設けなかった。その分足元はすっきりとした印象で、荷物も多く収納できるようになった。

エンターテインメントシステムにはパナソニック製のeX3システムを導入、カスタマイズしたエンターテインメントシステム「マイ・クリスワールド」では、乗客の好みと視聴履歴に基づいたレコメンドシステムを搭載。マイレージプログラム「クリスフライヤー」会員はコンテンツをブックマークし、レジューム再生できるほか、乗り継ぎのフライトのためにカスタマイズや再生位置を保存することもできる。さらに、トッカ・ポッカ、サゴミニのゲームシリーズも世界で初めて提供する。機内Wi-FiとGSM電話サービスも備えた。イヤホンジャックは2ピンタイプであるものの、乗客が持つ1ピンのタイプでも支障なく利用できるようにした。

シンガポール航空は、格安航空会社(LCC)のスクート、地域間路線を運航するフルサービスキャリアのシルクエアーを合わせた航空会社3社を傘下に持つ、SIAグループの航空会社。スクートがボーイング787-8型機とボーイング787-9型機の2機種を運航しており、グループとしてボーイング787型機の全機種を運航することになる。すでに確定発注済みの49機のボーイング787-10型機のうち最初の20機は今回公開したシートを搭載する。

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